こんにちは。気象予報士の今井明子です。
日に日に昼間が短く、風が冷たくなりますね。朝も冷え込むようになりました。
そろそろ、「初氷」の知らせを耳にすることが増える季節です。
初氷というのは、文字通り、その年初めて氷が張った日のことをいいます。
各地方の気象台では、初氷が観測されると発表されます。初氷を観測した日の統計も取られていて、平年値もあります。

では、気象台では初氷をどのように観測するのでしょうか。
実は、気象台の敷地に置かれた洗面器のような容器に水を入れ、それを職員が見に行って観測します。なんだか原始的ですよね。
気象台やアメダスでは、気温や降水量、風向・風速などは自動で観測されて、観測データがコンピューターに送られてきます。でも、初氷の観測は人の目によって行われるのです。
実はほかにも、気象台の職員の目で行われる観測があります。それは、桜の開花やいちょうの黄葉などの生物季節観測です。きっと観測を行う職員の皆さんも、開花や葉の色づきを見つけるごとに季節の移ろいを感じて、しみじみとした気持ちになっているのではないかな…と勝手に推察しています。

ちなみに、生物季節観測では以前はうぐいすの初鳴きやあぶらぜみ初鳴き、つばめ初見などの動物の観測も行われていたのですが、2020年いっぱいで廃止されてしまいました。また、以前は職員が空を眺めて雲の量や形、視程なども観測していましたが、こちらも自動化されて、なくなってしまいました。
こうした人の目による観測は、熟練の技が必要ですし、なくなっていくのはさみしいものがあります。初氷の観測はこれからどうなるのでしょうか。
さて、氷が張る季節になると、「氷アート」を楽しむ人もいます。洗面器におもちゃや花、落ち葉などを入れて翌朝凍らせると、ガラス細工のような素敵な作品が出来上がるのです。SNSで投稿されているのを眺めていると、胸がときめきます。

時間が経つと溶けてなくなるはかないアートですが、だからこそ気軽に挑戦できるんですよね。朝に窓を開けると、冷たい空気が部屋に流れ込んできて思わず身を縮めてしまいます。でも、氷アートを仕込んでおけば、「今朝はどんなふうに凍っているかな?」と思いながらベランダを確認するという、冬の楽しみがひとつふえそうです。

今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
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