こんにちは、料理人の庄本彩美です。今日は「鯖の味噌煮」についてのお話です。
これから鯖が旬を迎える。秋(10〜11月頃)にとれた鯖を「秋鯖」、冬(12〜翌2月頃)にとれた鯖を「寒(冬)鯖」と呼ぶそうだ。この時期は、鯖の脂が最ものっていて美味しいと言われている。
なるべく季節を追いかけて、旬の食材を楽しむのが大好きな私だが、鯖料理はあまり作らない。滋賀・長浜の「鯖そうめん」は大好きだし、京都に住んでから「鯖寿司」を食べる機会も増えた。

しかし、家で作るとなると、鯖料理が選択肢から外されることが多い。
子どものころはどんな鯖料理を食べていたっけ?‥としばらくご無沙汰の鯖のことを考えていると、ふと給食の「鯖の味噌煮」は大好物だったことを思い出した。
骨抜きされた鯖の切り身に、味噌ダレが絡められた一品。あのタレがとっても重要だ。食いしん坊な私が給食当番に当たったら、トングで掴んだ鯖にタレを絡めたくって皿に盛り付けていたに違いない。食べる時は、箸で切り分けた身にたっぷりタレをつけて。ふっくらした身と、優しく甘辛いタレが口の中にふわっと広がって、ついご飯をかきこみたくなる。味噌味が魚臭さを消していて、子どもでも食べやすかった。

あの鯖の味噌煮なら作れるかもしれない。ちょうど鯖が旬を迎えたこともあり、スーパーには長崎県産のマサバが並んでいた。身がふっくらしていて、皮も美しく美味しそうだ。
鯖は鮮度が命。買って早速調理に入る。皮に包丁を入れると、ぷりッとした身の感触が包丁に伝わる。鍋にみりん、砂糖、酒、生姜と水を入れ火にかけ、湯引きして臭みをとった鯖を入れて煮ていく。

味噌煮と言っても、煮魚はあまり煮込まない方が身が柔らかく美味しく仕上がる。様子を見ながら5分くらい煮詰め、鯖を一旦取り出す。そして鍋の調味料を少し煮詰めていく。量が少なくなってきたところで、味噌を加えて仕上げる。とろみがついたら鯖を戻してからめて、鯖の味噌煮の出来上がり。炊き立てのごはんの用意もバッチリだ。

身をほぐして、タレを絡めながら食べる。ふっくらした旬の鯖の身と、絡まった味噌の味がマッチしていてご飯が進む。とても久しぶりに作った割には上出来だ。しかし、給食の味と同じかと言うと、ちょっと違う。もっと優しくて甘い味だったはず。今回自家製の濃いめの味の味噌を使ってみたのだが、そういえば給食の鯖の味噌煮は、ここまで濃い色ではなかった。みりんや砂糖が多めなのだろうか。私の地元は九州が近いので、麦味噌や麹多めの甘めの味噌を使っていたのかもしれない。

今ではあまり鯖を好んで食べなくなってしまったけれど、また美味しそうな鯖を見つけたら、たまには作ってみよう。調味料の配合を変えてみたら、給食の味に近付くだろうか。
私を育ててくれた食の記憶と味を、大切な人たちと一緒に食べられたら、もっと楽しい食卓になるに違いない。

庄本彩美
料理家・「円卓」主宰
山口県出身、京都府在住。好きな季節は初夏。自分が生まれた季節なので。看護師の経験を経て、料理への関心を深める。京都で「料理から季節を感じて暮らす」をコンセプトに、お弁当作成やケータリング、味噌作りなど手しごとの会を行う。野菜の力を引き出すような料理を心がけています。
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