今日のお話は、信州長野県の伝統かぶ「野沢菜」のお話です。
野沢菜の発祥地は、長野県野沢温泉村にある健命寺とされています。口伝によると1756年(宝暦6年)、8代住職•晃天園瑞(こうてんえんずい)が京都から天王寺蕪(なにわの伝統野菜)の種を持ち帰り栽培を始めたところ、葉の長さが50cmから1mに大きく成長する葉になっていったそうです。しかし遺伝子研究では、天王寺蕪の種では無く、耐寒性に優れたシベリア経由で伝わった西洋種に近いそうです。
地元の人達は、野沢菜を「蕪菜」や「菜っぱ」、野沢菜漬けを「お葉漬け(おはづけ)」など色々な名前で呼んでいたそうです。親しみを感じられるような愛らしい響きです。
やがて、お葉漬けの味に感動した温泉やスキーで訪れた客達が「野沢菜漬け」と名付けて広まっていきました。
また、野沢菜は、高菜、広島菜と並ぶ「日本三大漬菜」のひとつに数えられるほど、代表的な漬菜(つけな)です。
漬菜とは、アブラナ科のキャベツのように結球しない葉物の総称です。
霜に当たるとより旨みや甘みが増して、味が良くなり、昔から漬物にして保存食にされてきました。
読者の皆さまは生の野沢菜をご覧になられたことはございますでしょうか?
私は働いていた大阪の大きな市場で、見たことがあります。ある冬の日に、とてつもなく大きな箱に入っていたのが、生の野沢菜でした。伸び伸びした長い茎とかぶの葉の何倍もしたような葉を束ねていました。持ってみたというより担いだと言った方が合っていて、ずっしりとした重量感でした。
野沢菜漬けの簡単な食べ方をご紹介します。
お好みの刻み方で良いのですが、4cm幅で切ってみてください。蕪や漬菜の中でも繊維が少ないため、野沢菜ならではの柔らかい食感を味わえるからです。
野沢菜の浅漬けと6Pチーズを餃子の皮に包んだ揚げ焼きは、漬物の塩味がいい感じです。
野沢わさび漬けは、酒粕とわさびの風味が利いています。苦手な方はマヨネーズや醤油を加えると食べやすくなります。
旬の鰤(ぶり)にも合います。脂がのっている鰤の身に、野沢菜の青味と食感と酒粕の甘さとわさびの辛味がアクセントになります。刺身、煮付け、鰤しゃぶなどの料理で薬味のようにお使いください。
他はお正月の蒲鉾に、普段はちくわきゅうりにちょっとのせても良いです。
もうしばらく漬けると、浅漬けから本漬けになります。べっ甲色をしていて乳酸発酵がすすみ深い味わいがあります。醤油、辛子醤油、胡麻、明太子と合います。
川口屋薫
料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁
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