こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。
私たちの愛する春の花「桜」が花開くと、その姿をどれくらいの間楽しむことができるかは、雨や風などのお天気との相性が大切になる問題です。
せっかく美しい花が満開となっても、その直後に「春の嵐」とも言われるような厳しい雨や風にさらされて、早々に花びらが散ってしまうということも、決して少なくありません。
開いた花ができるだけ長く枝に留まってくれるよう、毎年祈りたくなるものです。
桜吹雪という言葉は、満開になった桜の花びらがまるで吹雪のように、一斉に散りゆく様子を表現しています。
ひとつの自然の姿を、異なる季節の別の自然に例えるところは、日本人らしい独特の感性が生み出した、美しい言葉と言えるのではないでしょうか。
そう言えば、日本で桜が愛される理由のひとつは「散り方」にもあると、昔聞いたことがあったのを思い出しました。
桜の花は枯れてしまってからその花びらを落とすのではなく、咲き始めから最後の最後まで美しい姿のまま、花びらだけを散らして去っていきます。
その潔く美しい姿には、どんな時でも最後まで美しく咲き誇り、終わりの時にも鮮やかな最期を迎えたいという、私たちが桜の花に寄せる「生き様」への憧れのようなものを感じます。
自然の姿というのは、私たちの心にさまざまな「想い」を与えてくれるものですが、「こんな風に生きたい」「こんな姿でありたい」という理想像は、他の「人」ばかりがお手本というわけではないのですね。
「桜吹雪」も、私たちに桜という樹木の生き様を見せてくれている、一年に一度の貴重な光景なのだと思わずにはいられません。
ほんの少し前には、桜の花びらが風に舞い散る「桜吹雪」が見られるのは4月の入学式の頃だったように記憶していますが、今や気候の変動によって3月の卒業式の頃まで前倒しになりつつあります。
4月に見る桜吹雪は、新たな始まりを希望と共に祝ってくれるように思えたものですが、3月に見る桜吹雪は、門出に際して別れを惜しみつつ背中を押してくれているかのようで、どちらも私たちを勇気づけているように感じられるのが不思議です。
きっと、桜吹雪はどんな時に見たとしても、その時々でそれぞれの人の心に寄り添う、やさしくてあたたかなメッセージを届けてくれることでしょう。
さて。今年の桜吹雪を見ながら、あなたはどんなことを感じ、何を考えるでしょうか?
喜びなのか、寂しさなのか、一言では表現し尽くせないような想いが、胸の奥に芽生えることもあるかもしれません。
どうか、その想いを丁寧に受け取りながら、私たちの心に語り掛けてくれる桜の花たちの姿を目に焼き付けてみてくださいね。
紺野うみ
巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。
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