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青嵐せいらん、あおあらし

旬のもの 2024.06.17

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こんにちは。気象予報士の今井明子です。
初夏のこの時期は、雨の季節です。でも、たまに晴れる日は絶好のお出かけ日和。
5月に比べると蒸し暑さが増してくるものの、真夏ほどの命の危険を感じる暑さではありません。
また、この季節はなんといっても新緑の美しさが目に沁みます。

この若々しい青葉の上を吹き渡る風のことを「青嵐」といい、夏の季語となっています。嵐とはいうものの荒れた天気の強い風ではなく、あくまで晴れた日に、ざわざわと木立を揺らすような少し強めの風です。

青嵐という言葉で私の頭に思い浮かんだのは、木立が揺れる音の心地よさです。
私が京都に住んでいたころ、よく下鴨神社の糺の森に散歩に行きました。ここは神社の参道が背の高い木立に覆われています。まるで吹き抜けの高い天井のような緑のトンネルなのです。自分の頭上よりはるかに高い場所で木立が風に揺れてざわざわと音を立てているのを耳にすると、自然と心が落ち着いてきたものです。

東京に来てからは、深大寺の隣にある神代植物公園もお気に入りの散歩スポットになりました。ここも背の高い雑木林があり、木立の揺れる音が気持ちがよく、歩くと糺の森を思い出しました。

新緑の季節は、その緑のまぶしさと、風のすがすがしさがお出かけの気分を高揚させます。そこに加わる木立の揺れる音が最高の効果音なのです。青嵐という言葉も、きっとその効果音の魅力に気付いた人が考えた言葉なのだろうなと思います。

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今井明子

サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。

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