今日のお話は「ライチ」です。

ライチはレイシ(茘枝)とも呼ばれ、ムクロジ科の亜熱帯果樹の実です。ライチは2月から3月にかけて開花し実がつき、初夏から夏に収穫されます。
諸説ありますが、中国では紀元前から栽培されていたとされ、ライチの種類は100種類以上あるそうです。「妃子笑(ヒシショウ)」という品種は、唐の時代には楊貴妃に好まれたとされ、玄宗皇帝は彼女のために、中国南部から8日8晩かけて早馬を走らせて長安まで届けさせたそうです。

現在では、「妃子笑」は中国から、「玉荷包(ギョッカホウ)」、「黒葉(クロハ)」の品種などが台湾から日本へ生のライチが空輸で運ばれます。
日本の植物防疫法に基づいて、安心安全のために、とても厳しく管理されています。指定された畑で収穫され、残留農薬検査、害虫駆除のために行う燻蒸(くんじょう)処理、税関などの検疫で合格したものが、市場に入荷します。
果肉の食味は落ちませんが、燻蒸処理によって外皮が黒っぽく変色することがあります。それは安心安全の証なのですね。
私が初めてライチを食べたのは、中学生の頃でした。塾から帰ると母に「冷蔵庫にライチがあるよ!」と言われました。鱗状のゴツゴツした皮を見つめながら、はて?どうやって食べるんだろう?と思って母に聞くと、「簡単に手でむけるわよ」と教えてもらい、プチっと切り込みを入れてむき始めると、思っていたより簡単にパリパリとはがれて最後はポロンと皮が取れました。その皮が、栗をむいた皮のようでした。
半透明でやや乳白色でプルンとした果肉は、ゼリーのようにも見えます。口に入れてみると、ムニュとやわらかい食感、甘くてジューシーな果汁とともに、とてもいい香りが広がりました。この香りが芳香なアロマのようで印象的でした。途中で種があることに気づき、ビワのように種に気をつけて何個も食べました。大好きな果物が一つ増えた日でした。

近年は、希少な国産のライチもあります。主な産地は宮崎県や沖縄県で、高知県や香川県などの地域でも栽培が始まっています。新鮮なライチの皮は鮮やかな赤色をしています。まだ食べたことがないので、いつか食べれる日が楽しみです。調べてみると佐賀県にライチ摘みが体験できる観光農園があるそうです。来年は訪れて自分で摘み取ったばかりのライチを味わってみたいです。
今日は生のライチを使ったイタリアンです。夏は旬の桃とよく作るのですが、生のライチのジューシーな甘さもよく合います。よかったら作ってみてください。
生ライチとモッツァレラチーズのカプレーゼ風

〈材料〉
•生ライチ 5から6個
•モッツァレラチーズ 1個
•バジルの葉 1枚
•オリーブオイル 大さじ1
•お好みでスダチ、黒胡椒
〈作り方 〉
①生ライチの果肉とオリーブオイルを混ぜ合わせます。
②お皿に手でちぎったモッツァレラチーズをのせ、その上に①をかけたら完成です。
お好みでスダチの搾り汁や黒胡椒をかけてください。

川口屋薫
料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁
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