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肝を養う青の食材

旬のもの 2024.08.15

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和食には「五味五法五食」というルールがあるのですが、これは中医学で使われている五行説から生まれた考えです。五行説は、古代中国の自然哲学の一つで、万物が木、火、土、金、水の五つの要素から成り立っているという考え方です。

この五つの要素が互いに影響し合い、循環することで自然の調和が保たれると考えます。中医学では人体の臓器や気血のバランスを説明するためにこの五行説を用い、自然界の現象や自然と人とのつながり、或いは、人の体の状態を理解する枠組みとして活用しています。

五行説において「青」は、木行に関連しています。木行は成長や発展、柔軟性を象徴し、五臓では肝と関連付けられています。青は木のエネルギーを代表し、生命力や活力を高め、感情のバランスを取る効果があると考えられており、青は肝の健康を促進し、全体的な調和を助ける働きをします。

画像提供:櫻井大典

中医学において、肝(かん)は身体の健康や感情のバランスに大きな影響を及ぼします。肝は血を蓄え、気を巡らせる働きがあります。血(けつ)は、全身に栄養を運び、老廃物を回収します。また精神の安定にも寄与します。気は、身体を動かし温め、内臓を動かし、外敵から身を守るなどの働きを持ったエネルギーです。これも血と同じように身体の隅々を巡ることで効果を発揮しますが、五臓の肝は、これら気血の巡りを整えています。

この働きは、精神的ストレスや感情の波、体内の環境変化によって影響をうけ、不調となって現れます。不調になると、イライラしたり落ち込んだりと情緒が不安定になりやすく、不眠になったり、お腹の動きが悪くなって張りやすくなったり、下痢や便秘を繰り返すようになります。女性では月経周期が乱れたり、感情が荒れたり、月経前に胸が張って痛くなったりします。

こういった場合、青い食材を積極的に摂取することで、肝のバランスを整える助けとなり、不調を軽減できると考えます。

といっても実際に“青い食材”はそうそう存在しないので、青は緑に置き換えられます。

いくつか例を上げましょう。

ほうれん草

ほうれん草は鉄分を多く含み、血液の質を改善する効果があります。またビタミンCやA、カリウムを含んでおり肌や目の不調、高血圧やむくみの対策の補助となります。薬膳では、肝の「血」を補い、渇きを癒し、イライラを鎮めて、便通を整えます。

枝豆

枝豆に含まれる豊富な植物性タンパク質やビタミンB群は、肝の機能をサポートし、胃腸を整えて、エネルギーを補います。また、薬膳で枝豆は潤いを補い、こもった熱を冷まして炎症も鎮めてくれます。

海藻類(例: 昆布、わかめ)

海藻類は、肝のデトックス機能をサポートする重要な食材です。昆布やわかめには、豊富なミネラルと食物繊維が含まれており、肝の機能を助け、体内の余分な水分を排出する効果があります。また、海藻に含まれる水溶性食物繊維のフコイダンは、肝に蓄えられる血の質を向上し、肝の健康を維持してくれます。

ブルーベリー

ブルーベリーは、強力な抗酸化作用を持ち、肝の健康を守るために非常に有用です。ブルーベリーに含まれるアントシアニンは、肝の細胞を保護し、肝機能を向上させる助けとなります。また、薬膳でブルーベリーは、血の巡りを良くして、目を見えやすくします。

青の食材は、そのまま生で食べることもできますが、調理することでその栄養素をより効果的に摂取することができます。例えば、ほうれん草は軽く炒めることで、栄養素の吸収が高まりますし、枝豆はスープやサラダに加えることで、日常的に摂取しやすくなります。また、海藻類はスープの具材として利用するのが一般的です。ブルーベリーはスムージーやヨーグルトに加えて、簡単に摂取できます。

まとめ

青の食材は、中医学において肝の機能を養うためにとても重要です。ほうれん草などの青菜類、枝豆、海藻、ブルーベリーなどの食材を意識的に取り入れることで、肝の健康を維持し、エネルギーのバランスを整えることができます。これらの食材は、日常的に摂取することで、肝の「気」や「血」を補い、身体全体の健康を支える助けとなるでしょう。食生活に青の食材を取り入れることを習慣化し、より健康的な生活を目指しましょう。

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櫻井大典

国際中医専門員・漢方専門家
北海道出身。好きな季節は、雪がふる冬。真っ白な世界、匂いも音も感じない世界が好きです。冬は雪があったほうが好きです。SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず人気に。著書『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』 (ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)など。

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