今日のお話は「海ぶどう」です。
和名は「クビレズタ」です。枝に球状の粒がついており、キラキラと透き通るような輝きで深い緑色をしています。見た目がぶどうの房に似ていることから「海ぶどう」、プチプチとした食感から「グリーンキャビア」とも呼ばれています。 旬は春と秋とされています。温暖な季節が海ぶどうの生育に合っているそうです。
海ぶどうは、古く沖縄県本島から南西約300kmにある宮古島の海で自生していた海藻でした。平成に入ってから陸上で育てる養殖技術が確立すると、沖縄県内各地で生産されるようになり、今では通年で出荷しています。
養殖方法は、水槽の中に汲み上げた海水を入れて、種苗となる母藻を2枚の網で挟みます。海水を流し、塩分、水温、養分、日光を調整しながら約1カ月かけて育成。その後1本ずつ摘み取りますが、その際に切り口部分の細胞膜や細胞壁が壊れるため、別の水槽に移して数日間浸すことによって自然に修復するといわれています。その後は脱水してから出荷されます。
海ぶどうは、沖縄料理店でいただくことが多いかと思いますが、一般的な魚売り場に並ぶ機会もありますので、ご自宅での保存方法や食べ方をご紹介します。
海ぶどうは温度や水分にとても繊細です。保存は常温です。夏場は冷房の効いている部屋、秋は涼しい場所が適していると思います。海ぶどうは寒さに弱い性質があるため冷蔵庫で保存すると海ぶどうの粒が萎んでしまいます。
そのまま食べることが出来ますので、さっと水洗いしてザルにあげてから、優しく水気を拭き取ってください。
冷水にさらすとよりプチプチ感が良くなります。
10分ほど経つと段々と粒が萎んでいきますので、お食事が始まる前に水洗いなどの作業をしてください。
また、三杯酢や醤油でいただく時も、海ぶどうに直接タレをかけてしまうと、粒が萎みやすくなりますので、タレの上に盛るか、別々にしてタレをつけながら召し上がってください。
沖縄では豚しゃぶと一緒に食べるそうです。海ぶどうは、さっと湯通しすると深い緑色から鮮やかな緑色に変わるので、それを見ながらいただくのも楽しいかと思います。
卵焼きに入れると卵のフワフワと海ぶどうのプチプチ感が絶妙です。いつもの卵焼きに入れてみてください。海ぶどうは塩気がありますので、塩加減は控えめに味付けしてください。
沖縄の海と太陽の恵みがギュッと詰まった海ぶどうを使った簡単に出来るレシピです。よかったら作ってみてください。
海ぶどうとアボカドとチーズマヨ
〈材料〉
•海ぶどう お好みの量
•アボカド 1/2個
•6pチーズ 1個
•マヨネーズ 大さじ1
•ミニトマト 3個
〈作り方〉
①アボカド、チーズ、ミニトマトを一口サイズに切り、マヨネーズと和えます。
②お皿に①と海ぶどうを盛り付けたら完成です。
アボカドとチーズのねっとり感と海ぶどうプチプチ感が合います。
海ぶどうとサーモンのカルパッチョ
〈作り方〉
•海ぶどう お好みの量
•サーモン(お刺身用)100gから150g
A
•レモンの搾り汁 大さじ1
•オリーブオイル 大さじ1
•砂糖 小さじ1/2
〈作り方〉
①Aの材料をよく混ぜ合わせます。
②お皿にサーモンを並べて、Aをかけます。上に海ぶどうを盛ったら完成です。
※ポイント
海ぶどうの塩気だけで足りないようでしたら、サーモンに塩を軽く振ってください。付け合わせにオニオンスライスとかいわれ大根を添えました。
写真提供:川口屋薫

川口屋薫
料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁
