江戸時代に近江(滋賀県)から京都に伝わった蕪とされています。京都市左京区聖護院で栽培していたことが名前の由来になっています。
現在は京都市から約20km離れた亀岡市篠地区で主に栽培されています。
亀岡市は11月から2月中旬頃の収穫期に晴れると、午前中に「丹波霧」と呼ばれる朝霧がでます。空気が乾燥しがちな冬に朝霧が畑に水分を供給してくれます。12月から段々と寒くなると聖護院かぶの甘みがより増していきます。

聖護院かぶは、日本最大のかぶで重さは2kgから4kgもあり、ものによっては5kgにもなることがあるそうです。形は丸くて、艶々して真っ白です。肉質は緻密でやわらかいです。
私が働いていた市場では、肌寒く感じるようになった11月に聖護院かぶの入荷が始まりました。お正月が近づいてきたなと思わせてくれた野菜でした。直径約15cmのずっしりした聖護院かぶを落とさないように慎重に扱っていたのが懐かしい思い出です。
聖護院かぶは、漬け物、すりおろして卵白と混ぜたものを鯛や海老などにのせて蒸したかぶら蒸し、煮物などに使われます。
中でも代表的な聖護院かぶの漬物「千枚漬」は、「すぐき漬」・「しば漬」と並んで京都三大漬物とも呼ばれています。
江戸時代後期、京都御所で料理方に仕えていた大藤藤三郎さんが「千枚漬」を考案したそうで、後に京都で漬物屋を開業しました。京都の漬物屋さんが増えていくにつれて「千枚漬」は代表的な京漬物へとなりました。

伝統的な漬け込みは、まず、皮を剥いた聖護院かぶを職人さんが専用のかんなを使って2㎜から3㎜ほどの薄さにします。
それから、木樽の中に扇状に並べて塩を振り重石をのせて3日間ほど下漬けした後、昆布や調味料を入れて2日間ほど漬けます。
私が住んでいる大阪でも色々なお店で千枚漬けが並んでいます。京都の漬物屋さんは地方発送していますのでお取り寄せも可能です。
この時期から楽しめる冬の京漬物の味を楽しんでみてください。
私が初めて千枚漬けを食べたのは小学生の時でした。甘くてほんのり酸っぱくて今まで食べてきたしょっぱい漬物とは異なる味に驚きました。程よい昆布のぬめりと旨みも絶妙でした。
まだ今年は聖護院かぶを野菜売り場でみかけていませんが、自分で千枚漬を作って楽しんだこともあります。
聖護院かぶの外皮は茶色に変色しやすいですが、皮を剥いたら中は真っ白なので大丈夫です。野菜用保存袋で包んで冷蔵保存すると、比較的外皮は白い状態を保つことができます。
今日のレシピは簡単に作れる千枚漬風の蕪のお新香です。よかったら作ってみてください。
千枚漬風の蕪のお新香

材料
•皮を剥いた蕪 300g(小かぶ約5個分)
•塩 小さじ1
•出汁昆布 8g
•鷹の爪 1本
A
•酢 大さじ3
•砂糖 大さじ2
•みりん 大さじ1
作り方
①皮を剥いた白かぶをスライサーで薄切りにした後、ボールに入れて塩を加えます。軽くもんで1時間置きます。
②小鍋にAの材料を入れて煮立てた後、粗熱が取れるまで置きます。
③①の蕪を手で絞って水気を絞ります。
④プラスチックかホーローの保存用器かジップロックに昆布を敷き③を入れ、鷹の爪と②の調味料を入れて冷蔵庫で1日漬けたら完成です。
ポイント
鷹の爪はお好みの辛さで調整してください。1本の時は丸ごといれてください。
半分に切ったり、輪切りしたりする時は種を取り除いた方が辛さを抑えることが出来ます。
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川口屋薫
料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁
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