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ねぎ

旬のもの 2021.12.09

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こんにちは。料理人の川口屋薫です。

「今夜は鍋にしよう」 この言葉を口にする日が多くなる、冬の季節。
今回のお話は鍋料理の定番野菜、『ねぎ』です。

ねぎは、古くから食べられてきた歴史ある野菜のひとつで、奈良時代に中国から伝来し、平安時代には盛んに栽培するようになったといわれています。原産地は、中国西部の地域。夏は暑く、冬は寒い気候で乾燥している土地ゆえに、暑さや寒さに強い特徴があります。

そのため関西から西では低温、高温に強い青ねぎ、関東、東北では耐寒性や越冬性のある白ねぎが、気候風土に合わせて作られるようになりました。それぞれの地域で伝統野菜として育まれ、現在では500以上もの品種があります。

その中からいくつかご紹介します。

まずは一般的な「白ねぎ、長ねぎ」です。
関東や東北の産地から様々な品種を出荷することで、安定した価格で買うことができます。
「ぼけしらず」という品種があるのですが、白色と緑色の境がぼやけず、はっきりしていることから名付けられました。思わず立ち止まって見てしまうような、ユニークな名前ですね。

写真提供:川口屋薫

次は、殿様や魯山人に愛された「下仁田ねぎ」。群馬県下仁田地区でしか、この味を作ることができないと言われています。別名「殿様ねぎ」とも呼ばれていて、とても太くてどっしりした存在感は名前に負けていません。土付きなのは、保存性を高めるためです。

魯山人風すき焼きは、このねぎの甘さとトロトロ感を堪能できる鍋料理です。最近では関西のスーパーにも並ぶようになりました。

写真提供:川口屋薫
写真提供:川口屋薫

殿様から姫へ。細くて華奢な「芽ねぎ」は、直径1mmほどで、長さは6cmから10cmほど。芽ねぎ寿司に使われています。シャリの上にこんもりのせていますが、やわらかくて甘く、とても上品な味です。

写真提供:川口屋薫

新しいねぎでは、「西洋ねぎ」。リーキ、ポワロと呼ばれています。
下仁田ねぎに似ている形で、加熱すると日本のねぎより甘さが際立ちます。
日本のイタリア料理レストランでは、甘さを活かしたスープ、デザートに使われることもあります。
髭のような根は天ぷらにすると、かむごとに甘味と風味を感じておいしく、根付きで欲しいとリクエストするシェフもいるほどです。
寄せ鍋に入れるとトロトロで合います。
国産は年々増えており、見かけたときは是非鍋料理に使ってみてください。

根の天ぷらうどん 写真提供:川口屋薫

最後に、青ねぎの「九条ねぎ」。
京都の九条で約1,300年前から栽培が始まりました。やわらかくて甘く、生でも炊いても味の良いねぎは、和食の世界から西洋料理まで幅広いジャンルで使われています。

他にも東北の曲がりねぎや関東の赤ねぎ、ふぐのてっさに添えられる山口の高等(鴨頭)ねぎなど、伝統ねぎや料理に合わせたねぎは、たくさんあります。
旅先や料理屋さんで、そのようなねぎに出会えるかもしれません。

ねぎは身体を温める野菜ともいわれています。香りと辛味のもとになっているアリシンという成分が血行をよくしてくれたり、葉を刻んだ時にでるヌルヌルとしたものは、水溶性ペクチンで免疫力を高めてくれたりするそうなので、ねぎを食べて元気に冬を過ごしていきたいですね。

そして冬の終わりを告げる頃、近年じわじわ人気がでている「ねぎ坊主の天ぷら」もおすすめです。なんとも言えない風味を味わってみてください。

写真提供:川口屋薫
写真提供:川口屋薫
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川口屋薫

料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁

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