こんにちは。気象予報士の今井明子です。
いよいよ寒さが本番を迎える季節ですね。
この季節、西高東低の気圧配置によってシベリアから冬の季節風が吹きます。日本海側は雨や雪の日が多く、太平洋側は乾燥した風が吹いて晴れやすい傾向にあります。しかし、ときには太平洋側でも冷たい雨が降り続くことも。この時季のそのような雨は「山茶花(さざんか)ちらし」や「山茶花時雨」などと呼ばれることがあります。

この言葉に含まれるサザンカとは、ツバキ科の植物です。しかし、ツバキとは違う点がいくつかあります。
そのひとつは花期で、サザンカの花期は晩秋から冬にかけてです。ツバキというと寒い時期に咲く花というイメージが強いですが、寒椿と呼ばれる一部の品種を除けば基本的には春先に咲きます。この、ツバキの「冬の花」というイメージは晩秋や冬に咲くサザンカがツバキと混同されがちであることが大きいのかもしれません。

また、ツバキの花は基本的に咲き終わると花ごとポトリと落ちますが、サザンカはサクラのように花弁が散ります。その、サザンカの花弁を散らす雨ということで、冬の雨は「山茶花ちらし」と呼ばれるのです。

紅葉の時期を過ぎると、街からは花や色づいた葉、木の実など自然物由来の彩りがぐっと少なくなってしまうもの。しかし、その中でサザンカの花は貴重な彩り要員です。冬の雨は冷たく憂鬱な気分になってきますが、地面に散るサザンカの花弁に目を向けると、その鮮やかさにハッとします。憂鬱な雨でも、少しでも素敵なところを見つけようという心意気を、この言葉から感じるのは私だけでしょうか。

今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
関連する商品 RELATED ITEMS
-
【2025年】にっぽんのいろ日めくり
3,300円(税込) -
【5種セット】暦生活スケジュールシール (行事・祝日・二十四節気・七十二候・月の満ち欠け)
1,375円(税込) -
【2025年】縁起のいい日手帳 マンスリー
1,320円(税込) -
【2025年】旬を味わう七十二候の暦
1,815円(税込) -
【2025年】花の日めくり
3,300円(税込) -
【2025年】朝の日めくり
3,300円(税込) -
【2025年】月と暦 日めくり
1,210円(税込) -
[月]スケジュールシール
275円(税込) -
予約販売【2025年】旅する日めくり ~365 DAYS JOURNEY~
1,980円(税込) -
予約販売【2025年】俳句の日めくりカレンダー / スタンド付
2,200円(税込) -
[お月くんといっしょ] 刺繍トートバッグ
1,990円(税込) -
予約販売【2025年】旬を味わう七十二候の暦
1,815円(税込) -
くみひもブックマーカー(金色・真珠色・紅梅色・紅色)
1,100円(税込) -
書籍「日本を味わう 366日の旬のもの図鑑」
2,860円(税込) -
書籍「草の辞典 野の花・道の草」
1,650円(税込)