こんにちは。和菓子文化研究家のせせなおこです。色とりどりのお花や生き生きとした緑に元気をもらう初夏。私の大好きな季節です。とはいえ、最近の季節はどうも不安定で、初夏をゆっくりと楽しむまもなく、暑い夏の気配をすでに感じています。これからの季節、涼しさを表現するために登場するのが「錦玉羹(きんぎょくかん)」です。
錦玉羹は寒天を水に溶かして砂糖と煮詰め、冷まして固めたものを指します。錦玉羹という名前を見ると、宝石のような輝きがそのまま表現された名前だな、といつも感じています。錦玉羹の歴史はじつは古く、江戸時代には羊羹のひとつとしてすでに作られていました。当時は「金玉羹」と表記することが多く、煌びやかな様子を「金」と表現していましたが、次第に「錦」の漢字を使うようになったのだそう。目にも鮮やかなこの錦玉羹には、日本人の「涼を目で味わう」感性がぎゅっと詰まっているように思います。

錦玉羹はまさに“目で楽しむアート”のような存在。一番有名なものは水の中を泳ぐ金魚を表現したものではないでしょうか。海、川、空など、透明な世界の中にそっと閉じ込められた物語に、食べるのがもったいない気持ちになります。

忘れられない錦玉羹との出会いが、ふたつあります。ひとつは、寒天の中に琥珀糖が流し込んであり、日が経つにつれて、寒天に馴染んでいく、というもの。最初はくっきりと見える琥珀糖がだんだんと淡く滲む様子を日を追うごとに楽しむことができ、これほどまでに長い時間をかけて和菓子を楽しむことは初めての経験でした。
そしてもうひとつはフルーツポンチがモチーフになったもの。どこか懐かしい、だけど洋風のフルーツポンチが和菓子として楽しめる!?ととても衝撃を受けました。フルーツが散りばめられた錦玉羹の下には杏仁豆腐風味の羊羹。その発想の自由さに、心が躍りました。

毎年のように進化を遂げている錦玉羹。きっと今年も新しい錦玉羹に出会えるのではないかな、と今からワクワクしています。宝石のようなそのきらめきに出会えるこれからの季節が待ち遠しいばかりです。
写真提供:せせなおこ
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