こんにちは。和菓子文化研究家のせせなおこです。
いよいよ梅雨の時期がやってきました。ジメジメとしたこの季節、正直あまり得意とは言えませんが、そんな心を癒してくれるのが、「紫陽花」です。
小さい頃から大好きなお花、紫陽花。実家のお隣のお家に、毎年見事な紫陽花が咲いていて、この季節がくるたびに咲くのを楽しみにしていました。毎年、なんだかちょっと贅沢な気分を味わわせてもらっていた気がします。
青、紫、ピンクに白。色とりどりの紫陽花ですが、なんで色が違うんだろう?と思って調べてみるとなんと、紫陽花の色を決めているのは咲いている土の性質(酸性・アルカリ性)なんだそう!自然って本当に不思議で、おもしろいですよね。紫陽花をみるたびに、どの紫陽花もいろんな環境で頑張って咲いているんだな、と思うようになりました。
そんな美しい紫陽花の姿を、そっと映し出してくれるのは、そう、やっぱり和菓子です。この時期になると、和菓子屋さんの店先には、色とりどりの紫陽花をかたどったお菓子が咲き誇ります。もちろん、紫陽花の名所を訪れるのも素敵な楽しみ方ですが、和菓子屋さんを巡って「紫陽花の和菓子」を眺めるのも、実はこの季節ならではの贅沢な紫陽花巡りかもしれません。
花びらに見えるガクが4枚あることから「四葩(よひら)」、手鞠のような丸い形から「手毬花」、様々な色に変化することから「七変化」と、様々な名前を持つ紫陽花は、職人さんの手にかかると、その表現は無限大です。
最近、一番よく見かけるタイプの紫陽花は、錦玉羹でできたもの。白あんの周りに小さい四角に切った錦玉羹がキラキラと光り、なんとも美しい紫陽花が表現されています。
練り切りで、四葩を表したものや、はたまたきんとん製のもの。さらに、紫陽花は干菓子でも表現されます。“食べられる宝石”と呼ばれることもある干菓子「琥珀糖」はシャリっとした食感が特徴で、半透明の色合いは寒天を数日間かけて乾燥することによって生まれます。
梅雨が苦手と言いつつも、本物の紫陽花、そして和菓子の紫陽花。どちらの紫陽花巡りもはずせないこの季節、なんだかんだ毎年忙しくしている気がします。今年はどんな紫陽花が咲き、どんな紫陽花に出会えるかな。素敵な紫陽花に出会った時は、みなさんぜひ、教えてくださいね。
写真提供:せせなおこ

