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ブルースター

旬のもの 2025.06.27

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こんにちは。俳人の森乃おとです。

6月は、南米生まれのブルースターが、星のようにさわやかな水色の花を咲かせる季節。街の園芸店にはブルースターを入れたパステルカラーの花束が並んでいます。欧米では男の子の出産祝いや結婚式などに使われ、人生における大切なシーンを祝福する花として愛されてきました。

砂糖菓子のような星形の花

ブルースターは、キョウチクトウ科ガガイモ亜科ルリトウワタ属の常緑多年草もしくは亜低木です。原産地は、ブラジル南部からウルグアイにかけての熱帯地域。かつてはガガイモ科でしたが、新しい分類体系(=APG体系)では、ガガイモ科はキョウチクトウ科に含められることになりました。

茎はつる状に伸び、成長すると丈60~90cmに達します。対生する葉は、長さ5~10㎝の楕円形。茎や葉など株全体が白い産毛に覆われていて、ベルベットのようなふかふかした厚みと優しい質感が特徴です。

開花期は5~10月。茎の上部や葉の付け根から花序を出し、径2.5㎝ほどの小さな花を数個つけます。花は5弁花に見えますが、花冠が5深裂して基部が合着した筒状花です。その中央には、瑠璃色の副花冠が輝きます。

ブルースターの魅力は、開花が進むとともに花色が淡い水色から深い青となり、最後にはピンクや紫へと変化していくこと。やわらかいパステルグリーンの葉や茎にくるまれ、まるで色とりどりの星形の砂糖菓子のようです。

花が咲き終わると、ガガイモの仲間に共通する鞘(さや)が実り、中には光沢ある綿毛のついた種子がぎっしりと詰まっています。時期が来ると種子はこぼれ出て、タンポポのように風に乗ってそれぞれが新天地へと飛び立っていくのです。

和名は「ルリトウワタ」、英名は「トゥイーディア」

ブルースターの学名はOxypetalum caeruleum(オキシペタルム・カエルレウム)。Oxypetalumはギリシャ語で「鋭い花弁」を意味します。caeruleumは「青色の」。澄んだ空の色を表す英語の cerulean (セルリアン)の語源です。
淡いブルーの花色と星のような花形から、日本では「ブルースター」の呼び名で流通していますが、正式な和名は「ルリトウワタ(瑠璃唐綿)」。これは同じガガイモ亜科のトウワタ(唐綿)に似て、種子に冠毛があることによります。

英語圏では一般的に「Tweedia(トゥイーディア)」または「Southern Star(サウザン・スター)」と呼ばれ、ブルースターの名はあまり使われません。ちなみに “トゥイーディア”は、19世紀にエディンバラ王立植物園の庭師だったジェームズ・トゥイーディー(1775~1862年)に由来。彼は南米に移住した後、大陸中を旅して植物を採集し、スコットランドに送ったことで知られています。

ブルースターといえば青い星形の花が印象的ですが、花色が白の品種は「ホワイトスター」、ピンクは「ピンクスター」または「ローズスター」の名で呼ばれます。
いずれも花束やアレンジメント、寄せ植えのアクセントとして人気がありますが、茎や葉を傷つけると出てくる白い粘液にはご注意を。強い毒性があり、皮膚につくと炎症を起こす場合もあります。付着してしまった場合は石鹸などでしっかりと洗い流してくださいね。

完と未完 しばしは身透き 六月花嫁(ジューンブライド)――平井さち子(1925年~)

ブルースターの花言葉は、「幸福な愛」「信じ合う心」。
欧米では淡く薄い青色をベビーブルーと呼びますが、男の子の誕生を祝うラッキーカラーとしてブルースターを贈る習慣があります。

また可憐で慎ましやかな花は、結婚式で「サムシング・ブルー」としてウェディングブーケなどに使われます。サムシング・ブルーとは「サムシング・フォー(4つの何か)」の中の1つで、 花嫁が“新しい” もの、“古い”もの、“借りた”もの、そして“青い”もの、この4つのアイテムを身に付けると、結婚生活に永遠の幸せが訪れるのだとか。
青は聖母マリアの誠実さと貞淑を表すシンボルカラーであり、花嫁の純潔と幸福の象徴です。花言葉の「幸福な愛」「信じ合う心」は、こうした風習から生まれました。

ところで、古来ヨーロッパには、「6月に結婚する花嫁は幸せになれる」という“ジューンブライド(June bride)”の言い伝えがあります。日本では梅雨にあたりますが、ヨーロッパの6月は雨が少なく、美しくさわやかな新緑の季節。まさに結婚のベストシーズンです。
終わりとはじまりが交差する人生の季節に身を置き、花嫁の身体は穢れなく透き通るがごとし。手にしたブルースターのブーケは、純白の花嫁をさらに引き立ててくれることでしょう。

ブルースター

学名 Oxypetalum caeruleum
英名 Tweedia, Southern Star
キョウチクトウ科ガガイモ亜科ルリトウワタ属の常緑多年草もしくは亜低木。原産地は、ブラジル南部からウルグアイにかけての熱帯地域。5~10月、花径2.5㎝ほどの花を数個つける。水色の花は花冠が5深裂し基部が合着した筒状花。株全体が白い産毛に覆われている。

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森乃おと

俳人
広島県福山市出身。野にある草花や歳時記をこよなく愛好する。好きな季節は、緑が育まれる青い梅雨。そして豊かに結実する秋。著書に『草の辞典』『七十二候のゆうるり歳時記手帖』。『絶滅生物図誌』では文章を担当。2020年3月に『たんぽぽの秘密』を刊行。(すべて雷鳥社刊)

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