こんにちは。和菓子文化研究家のせせなおこです。
茶色くて、軽くて、サクッとした食感。しっかり甘くてどこか懐かしい、でも実際に食べたことがある人は意外と少ない、そんな不思議な存在。今回はそんな、カルメ焼きが主役です。
カルメ焼きとの最初の出会いは、意外にも「理科の実験」でした。中学生の理科の授業。教科書に出てくる実験を、全部やらせてくれる先生がいました。そのおかげで私は理科が大好きになったのですが、その実験の一つが「カルメ焼き」を作るものでした。
銅でできた専用のお玉にザラメを入れ、加熱していくとじんわりと砂糖が溶けていき、しばらくたつと沸々と泡が立ってきます。お玉を火からおろし、重曹を加え、勢いよくかき混ぜます。すると、まるで風船のように大きく膨れ上がるお砂糖。これは本当にお砂糖なのか?と疑ってしまうほど綺麗に大きく膨らみました。実は重曹を入れるタイミングがとても重要で、膨らませるのはなかなか難しいのだそう。
元々お菓子作りは好きでしたが、スポンジが膨らむこと、チョコレートが溶けることはすべて科学的に証明できるのだ、ととてもワクワクしたのを覚えています。
そういえばちゃんとカルメ焼きのことを調べたことはなかったかも、と今回カルメ焼きの歴史を調べてみると、なんとカルメ焼きのルーツはポルトガル。ポルトガル語で「甘いもの」を意味するcarameloが由来なのだそうです。カステラや金平糖など、いわゆる「南蛮菓子」として日本にやってきたとされています。
日本のカルメ焼きは砂糖に重曹を入れて膨らませますが、ポルトガルのものは泡立てた卵白を使い膨らませるのだそうです。日本のものよりもっと軽い食感なのかな?と想像しただけでワクワクします。
日本ではなかなか馴染みがなくなってきているカルメ焼きですが、実は韓国にもカルメ焼きと似たお菓子「ダルゴナ」が存在します。材料は全く同じ、しかし日本のように膨らませるのではなく、表面に絵を描いて、それを型抜きのようにして楽しむといった、遊び心のある駄菓子として親しまれています。最近では、人気の韓国ドラマ『イカゲーム』にも登場し、ダルゴナそのものや、その風味を生かしたお菓子なども注目を集めています。
何気なく調べただけなのに、まるで海外旅行に行ったように他の国に思いを巡らせることができたカルメ焼き。食べるだけでなく、こういう色々な体験がより一層お菓子をおいしくしてくれるな、と改めて感じました。

