こんにちは。和菓子文化研究家のせせなおこです。
東京に住んでいた頃、お気に入りだった街があります。それは、今回の主役が誕生した街、人形町です。江戸時代、庶民の娯楽として「人形芝居」が人気を博しており、その人形職人や人形を操る人など、人形芝居に携わる人々が暮らしていたことが人形町の名前の由来になったとされています。
なんだか最近忙しいな、心が落ち着かないな、そんな気持ちになった時、駅を降りてまずは甘酒横丁に向かいます。入り口のお茶屋さんの香ばしい香りにホッとひと息、この香りを感じたら、冒険のスタートです!思いのままに街を散策します。お豆腐屋さんにお寿司屋さん、雑貨屋さんに、和菓子屋さんもたくさんあります。
散策のお供に見つけたのは、この街の名物、人形焼。お店の周辺には甘いカステラのいい香り。つられてお店に入ります。「焼きたてにしますか?」と聞かれて、思わず「はいっ!」と勢いよく答えてしまいました。

人形焼の発祥は江戸時代といわれています。人形焼のモチーフといえば七福神の顔でおなじみですが、昔は全身を模したものだったのだそう。布袋尊、弁財天、恵比寿、毘沙門、大黒天、寿老人、弁財天、あれ、1人足りない?と思ったら、7人目はお客さんが神様、という意味が込められているのだそう。ちょっとした遊び心に日本らしさを感じます。
今ではキャラクターや動物、様々な形の人形焼がありますが、その昔、浅草で売られていた人形焼は浅草の名所の形をしていたため「名所焼」と呼ばれ、人形町の人形焼は七福神の顔をモチーフとしていたため「面形焼(おもかたやき)」とも呼ばれていたそうです。
初めて食べた、焼きたての人形焼は熱々の生地でやけどしてしまうほど。中からはとろっとろのあんこが出てきてこんなにおいしい人形焼は初めて。感動のおいしさは何個でも食べられそうなほどでした。しかし、「冷めてから食べてもおいしいよ」とお店の方。食べたい気持ちを抑えてここでおしまい。それにしても、人形焼がこんなに愛おしいおやつだったなんて…!

そのあとはふわふわのふわふわの和菓子屋さんの老夫婦とお話をして「若いっていうのはなんでもできるのよ、うらやましいわ!がんばりなさいね」とおかみさんに元気をもらい、次に行ったパン屋さんではなつかしさあふれるパンをついつい買い過ぎてしまったり。この街に来ると、本当に心が温まります。
家に帰り着いて人形焼を食べると、とろとろだったあんこがピシッとしまって、ふわふわだった生地はあんこの水分を含んでしっとりとしています。同じものとは思えないほどの変化でした。温かいおやつと温かい思い出に、まだまだ寒いこの季節を乗り切りましょう。
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