こんにちは。和菓子コーディネーターのせせなおこです。
暑い夏がやってくると、毎年思い出す絵本があります。朝起きると雪が積もっていて、嬉しくなった女の子。外に飛び出すと「かき氷が食べ放題だよ!」と雪にシロップをかけ、カラフルに染めて思う存分かき氷を楽しむお話です。
結局女の子はお母さんに叱られてしまうのですが、当時その話を読んだ私は「雪を見てそんなことを思いつくだなんてこの女の子はすごいな〜!」と驚きを隠せず、とても尊敬したのを覚えています。さすがに真似しようとは思いませんでしたが、それはめったに雪が積もらなかったからで、もし本当に自分の背丈ほどの真っ白の雪が積もっていたらやっていたかもな、と今でもふと思い出して楽しんでいます。
そんなかき氷の歴史は意外と古く、なんと平安時代に生まれたもの。清少納言の『枕草子』に登場する「削り氷(けずりひ)」が最初といわれています。
そういえば、数日前に今年の初氷をしてきました。ずっと気になっていた甘味屋さんのかき氷です。注文したのは「氷宇治しるこ」。宇治抹茶の蜜がたっぷりとかかり、こしあんと白玉がのった究極のかき氷…!!
注文してから5分ほど待つと、店主のおじいさんが温かいお茶と一緒に運んできてくれました。ところが、お皿には緑の氷の山。白玉やあんこが見当たりません。メニュー表の写真にはあったはず。「え、おじいさん間違えちゃったのかな…」
そんな不安を抱えながらどんどん氷を食べすすめてもやっぱりいないあんこと白玉。半泣き状態になりながらスプーンをすくった次の瞬間!なめらかなあんこがいるではないですか!!!
あんこをすくうと、お隣から白玉も出てきました。もう、なんだよ〜、おじいさんのサプライズにすっかりやられてしまいました。それまでは正直味がしなかったかき氷でしたが、安心した瞬間、濃厚な抹茶となめらかでやさしいあんこ、ちょっぴり冷たくて表面が固くなった白玉、それはもう愛おしく思えて、あっという間に食べ終わってしまいました。
近頃はかき氷ブームが到来し、ケーキの名前がついていたり、フルーツがそのまま器になっていたり、はたまた、クリームやソースがたっぷりかかったりして、すさまじい進化を遂げています。そんな流行りのかき氷もいいですが、シンプルにシロップがかかった懐かしいかき氷も無くなって欲しくないな、と思っています。
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