こんにちは。気象予報士の今井明子です。
ときは夏真っ盛り。ギラギラの太陽が照り付けて、外に出れば汗がダラダラ流れます。
こんな状態は、まさに「炎天」。これも夏の季語です。
なぜ、夏になると晴れる日が増えて、太陽が照りつけるのでしょうか。
それは、太平洋高気圧のしわざです。
太平洋高気圧は、亜熱帯に位置する高気圧です。
地球は、赤道上でもっとも太陽のエネルギーを多く受け取ります。ですから、赤道付近は1年を通じて暑く、熱帯と呼ばれています。太陽で照りつけられると、暖められた空気は上昇します。空気が上昇すれば上空で気温が下がって雲ができ、雨が降ります。
そして、熱帯で上昇した空気は、亜熱帯で下降します。空気は下降するにつれて気温が上がり、雲が消えます。ですから、亜熱帯の多くの地域は雨がほとんど降らない乾燥帯となります。下降気流が生まれる場所は、地面が空気で強く押されるので、高気圧となります。そのような高気圧のひとつが太平洋高気圧なのです。夏は太平洋高気圧が勢力を強め、日本付近を覆うため、晴れの日が続き、太陽が照りつけるというわけです。
ときには太平洋高気圧の上にチベット高気圧が重なることもあります。これは春から夏にかけて、チベット高原の上空で発生する高気圧です。チベット高気圧が太平洋高気圧の上に重なると、空気が下降する距離が長くなるため、気温はますます上昇して、猛暑になるのです。
梅雨が明けると開放的な気持ちになりますが、炎天下を歩くのは命の危険を感じます。どうか暑さ対策を万全にして、なんとかこの夏を乗り切りましょう。

今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
