こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。
長かった夏も、やっと折り返し地点を過ぎた頃でしょうか。
今年も全国各地で「酷暑」と呼ぶにふさわしい暑さが続きましたが、そんな季節だからこそ、どこかで見かけるとなぜか恋しくなる飲み物、ラムネ。
いくつになっても、その繊細で美しいビジュアルと変わらぬ味の懐かしさに魅了され、海やお祭りの屋台、お店などで出合うたびに無性に飲みたくなってしまいます。
透き通った水色のビンの中に入った甘く爽やかな炭酸水は、小さくはじける泡の音と、中に入ったビー玉の動きが楽しくて。少しずつ口に含むと、私たちの五感に全力で「夏」を伝えてくれているようにも思えるのです。
手の中にしっくりと収まるフォルムと、ビー玉によって栓をされ炭酸がしっかりと守られる仕組み。エイっと力を込めて押して栓を開けると、中のラムネがほんの少し勢いよく飛び出してきます。
飲むときには、中のビー玉が転がるか転がらないかの角度を、こっそり研究したことも。飲み終わったら、中に入ったビー玉が取り出したくて、知恵を絞った人もいるのではないでしょうか。
見かけて「飲みたいなぁ」と思った瞬間から、購入して開けて飲んで、飲み終わるところまでずっと続くワクワクやドキドキ感。まさに夏の風物詩として相応しい、エンタメ要素満載の、美味しいだけじゃない飲み物です。
思えば、さまざまな飲み物の形態が歴史の中で大きく変わってきたというのに、「ラムネ」ほどそのままの姿が愛され、受け継がれてきた飲み物はあったでしょうか。
近年では種類も増えて、プラスチック製のボトルに入ったラムネも見かけるようになりましたが、それでも形状や色などの見た目と中身は大きく変わることなく、夏を楽しむ定番の飲み物として多くの人に愛され続けているのが分かります。
ラムネという名前の語源は、「レモネード」という言葉が訛った形。
ラムネの元になるレモネードが初めて日本にやってきたのは幕末、米国のペリー提督が浦賀に来航した1853年だと伝えられています。
ラムネの生まれはイギリスですが、日本でも開国以降、明治時代から昭和にかけて爆発的に広まり、庶民の飲み物として親しまれてきました。
同じ炭酸飲料であるサイダーとの違いはいくつかありますが、当時のサイダーはリンゴ風味であるのに対して、ラムネはレモン風味でした。
加えて、サイダーは胴長の丸いビンに王冠の栓、ラムネはくびれのあるガラス瓶にビー玉の栓という違い。
輸入当初はワインと同じようにコルク栓のビンが使われていたのですが、コルクでは炭酸が抜けてしまうため、あのようなビー玉栓のビンが考案されたのだとか。その後、日本でも独自に進化したラムネ用のビンが開発され、その出来の良さは輸出元のイギリス人を驚かせたと伝えられています。
かつてはお祭り以外にも、銭湯や映画館など、ラムネがより身近な存在だった時代もありました。
時代の流れの中で多様な清涼飲料水が誕生するうちに、ラムネも最盛期に比べてその生産量を減らしています。
しかし、今なおその姿を消すことがないばかりか、むしろ「夏だからこそ恋しくなる懐かしい飲み物」として、日本人の心に根強く残っています。
「ラムネ」や「サイダー」は夏の季語にもなっていますから、私たちにとってはその名前を聞くだけでも「夏」を連想させてくれる、楽しい飲み物だという証でしょう。
皆さんは今年の夏、ラムネを楽しみましたか?
まだまだ残暑は厳しく、少しでも爽やかさを感じたい時には、ラムネがピッタリなのではないでしょうか。
五感をフル稼働して、シュワッと美味しい夏の醍醐味を、ぜひ味わってみてくださいね!

紺野うみ
巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。
