こんにちは、料理人の庄本彩美です。今日は「ポテトサラダ」のお話です。
小学2年生の時のこと。同じクラスの友達に、「今度お誕生日会をうちでするんだけど、よかったら来ない?」と初めてお誕生日会に誘われた。
母と相談してプレゼントを用意し、当日はおめかししてその子の家へ。うちの日本家屋とは違う、赤い屋根のおしゃれなお家のベルを鳴らすと、友達が出迎えてくれた。
少し緊張して入ると、デコレーションされた部屋にクラスメイトの女の子たちも集まっていた。
そしてテーブルには、友達のお母さんが作った唐揚げやおにぎり、お菓子が所狭しと並んでいた。「憧れのお誕生日会だ…!」と胸をときめかせていたところ、そこに鮮やかなポテトサラダが置いてあるのを見つけた。
マッシュポテトに、ピンクのハムが混ざっている。緑のブロッコリーや赤いミニトマトが散りばめられている。まるで花束のように華やかな見た目で、子どもの心を掴む、可愛いらしいポテトサラダだった。
母もよくポテトサラダは作ってくれるが、うちのポテトサラダはハムときゅうりのシンプルなもの。それとは全く違うポテトサラダのいでたちに、私は目を奪われた。
ジュースで乾杯をして、パーティーが始まった。私は脇目も振らず、真っ先にポテトサラダを皿に盛った。スプーンを入れると、するりと抵抗なく入る。その柔らかさに驚いた。
食べてみると、口当たりの良いマッシュポテトがふわりと広がった。家のじゃがいも感が強いポテトサラダとは、違う味わいだ。
そして、食べ進めると、「シャリッ」と心地よい歯応えが。よく見ると、なんとりんごが入っている。
「ご飯のポテトサラダに、果物のりんご!?」
ご飯の中に果物が入っている料理を食べたのはこれが初めて。別々で食べるものだと思っていた私は、驚いた。濃厚なマッシュポテトの中に入る、りんごが爽やかなアクセントになっている。いくらでも食べられそうなくらい美味しい。この日、私はポテトサラダの新境地に出合ったのだった。
はるか昔の記憶だが、このお誕生日会を華やかに盛り上げていたポテトサラダを鮮明に思い出す。今では母と同じような、シンプルで季節の食材を盛り込んだようなポテトサラダを作ることが多い。しかし、誰かの誕生日パーティーを開く時は、決まってこの思い出のポテトサラダを作る。
あのポテトサラダが、子どもの頃の私の心を踊らせたように、今度は私が誰かの子ども心に、パッと花を咲かせられたらいいなと思うのだ。
これから秋のじゃがいもの旬が来る。春のものと違って、ホクホク感が特徴でポテトサラダやコロッケにもピッタリ。バリエーション豊かで楽しいポテトサラダを作って、秋の料理を楽しんでみてはどうだろうか。

庄本彩美
料理家・「円卓」主宰
山口県出身、京都府在住。好きな季節は初夏。自分が生まれた季節なので。看護師の経験を経て、料理への関心を深める。京都で「料理から季節を感じて暮らす」をコンセプトに、お弁当作成やケータリング、味噌作りなど手しごとの会を行う。野菜の力を引き出すような料理を心がけています。
