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手づくり二十四節気/秋分しゅうぶん

二十四節気と七十二候 2022.09.23

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秋の栗しぼり、芋しぼり

すっかり秋らしくなりました。秋分です。はやくも秋の真ん中となって、これからますます深まっていくのですね。
ということは、秋の味覚もたっぷり。しばらくは充実の日々がおくれそうです。

そこで、今回は秋の味覚の代表、栗とお芋を使って小さなおやつを作ります。 「栗しぼり」と「芋しぼり」です。
どちらもつくるのは簡単。ほぼ素材のままの味を生かしたシンプルなお菓子です。

栗のお菓子は、栗蒸し羊羹や栗かのこなどがありますが、どれも黄色い栗が華やかな印象です。が、栗しぼりは少し地味めのお菓子。クチナシの実で黄色にもしないので、栗の実の渋い色そのままです。

茹でた栗の実をくり抜いて少しすり鉢で当たって、そこに白みつを混ぜ、茶巾絞りにして出来上がり。茹で栗を剥きながら食べるのはなによりの秋のごちそうですが、ちょっと趣をかえて、小さな茶巾しぼりに仕上げるとまたいいものです。黒文字など添えて、お客様にお出しするのも素敵。
材料は、栗と砂糖と水。シンプル至極です。

もうひとつの「芋しぼり」、これもちょうど出回り始めたさつま芋を材料に。

輪切りにして皮を剥いたさつま芋を、蒸して裏ごしに。そこにバター、砂糖、ラム酒にシナモンパウダーを混ぜて生地を作ります。これを分けて丸めて茶巾しぼりに仕上げて出来上がりです。

芋しぼりの方は、少し洋風の味と香り。バターとシナモンとラム酒の香りにうっとりです。これのてっぺんに卵の黄身を塗って、ちょっとオーブンで焼き色をつければスイートポテトになります。

実は、かぼちゃでも同じように絞ってみようと作り始めましたが、柔らかすぎてしぼれませんでした。蒸して裏ごしすると、もうダラダラ状態。仕方がないのでこちらはかぼちゃのプリンにしてこっそり食べることに。味付けは、バニラアイスクリームを混ぜこんで、グランマルニエで香りづけ。そこにゼラチン液を加えて冷やし固めたというわけです。
「しぼり」には仕上げられなかったけれど、プリンはプリンでなかなかいい味わいになりました。

秋の恵みも、のんびりしているとあっという間に違うものに交代してしまいます。ぶどう、いちじく、りんごに柿。果物だけでも大忙しです。おいしい今を逃さず、素早くすばしこく、味わうことにいたしましょう。

まずはそのままで味わって、次にはちょっとだけアレンジを加えて。ああでもない、こうでもない、とつくり続けているあいだに、秋はじわりと深まっていきます。

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平野恵理子

イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。

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