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喉の不調に梨の薬膳デザート

旬のもの 2025.10.11

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声がれ、乾いた咳に——秋にやさしい「蒸し梨」の薬膳

秋になると、空気が少しずつ冷たく、乾いてきます。
朝起きたときに喉がイガイガしたり、咳が長引いたり、声がかすれたり。
そんなときにおすすめなのが秋の味覚の一つ、梨。

そのまま食べるのももちろん良いですが、ひと手間かけると、喉の不調を取り除く薬膳に変化することをご存知でしょうか。

今日は乾燥の秋におすすめの梨の薬膳のお話をしますね。

梨は「肺を潤す果物」

中医学では、梨は涼性で甘・微酸の味をもち、肺・胃に作用するとされます。
簡単にいえば、熱を冷まし、乾きを潤す性質です。

効能は「生津潤肺(しょうしんじゅんはい)」といい、
・乾いた咳
・喉の痛み
・声のかすれ
・発熱後の口の乾き
・肌荒れ
などに用いられます。

古典『本草綱目』にも「梨は熱を清し、痰を化し、咳を止む」とあります。
秋に梨を食べることは、まさに“肺を潤す”季節の養生なのです。

蒸し梨の作り方

材料はとてもシンプル。
• 梨:1個(洋梨でも可)
• 氷砂糖:3個ほど(またはハチミツ小さじ1)

作り方:

① 梨のヘタを蓋のように切り取り、スプーンで芯をくり抜きます。
② くり抜いた部分に氷砂糖を3個入れます。
③ 蓋を戻して、深めの皿にのせます(汁が出るので受け皿は必須)。
④ 蒸し器で40〜50分ほど。梨が柔らかくなり、皮にヒビが入ったら出来上がり。

スプーンで果肉を崩しながら、溶けた氷砂糖のシロップごといただきます。
ほんのりとした甘さが喉にやさしく、冷めても温め直しても美味しいです。

なぜ「蒸す」とよいのか

梨は本来、体を冷やす「寒性」の果物。そのまま食べると、冷え性や胃腸が弱い人には少し負担になることがあります。

ところが、蒸すことで消化しやすくなり、潤いはそのままに、冷えにくくなり、体の負担が減ります。
つまり、蒸すことで弱っている体にも優しくなるわけです。
熱っぽい咳にも、冷え性の人の乾いた咳にも、どちらにも対応できることが、蒸した梨のすごいところです。

氷砂糖が持つ“肺を助ける力”

氷砂糖には、甘味で気を補い、肺を潤す作用があります。
古くから中国では、咳止めの薬膳やのど飴にもよく使われてきました。

ただし、入れすぎは禁物。
甘味は「湿(しつ)」を生む性質があるので、痰が多いタイプの方は少量で十分です。もし痰が多く、のどの奥がネバつくようなら、氷砂糖ではなくハチミツ小さじ1でもよいでしょう。

こんな人におすすめ
• 秋から冬にかけて空咳が続く人
• 話す仕事や声を使う仕事で声がれが気になる人
• 喉が渇きやすく、冷たいものを欲しがる人
• 風邪のあとに体が熱っぽく、喉が痛む人
• 肌の乾燥や寝汗が気になる人

どれも肺の陰(潤い)が不足しているサインです。
そんなとき、薬に頼る前に、まず梨を試してみてください。

一緒に摂るとよいもの

蒸し梨は単体でも十分ですが、さらに体質に合わせて少しアレンジするのもおすすめです。

•乾燥が強い人:白きくらげ、百合根を一緒に蒸す。
•喉の炎症がある人:陳皮(みかんの皮)をひとかけ。
•咳が長引く人:銀杏(ぎんなん)を2〜3粒加える。
•冷えやすい人:生姜の薄切りを少し加える。

どれも肺を潤し、喉を守る仲間たちです。症状に合わせて試してみてくださいませ。

秋の夜に、湯気とともに深呼吸を

中医学では、肺は「悲しみ」とつながる臓といわれます。
秋に少し気分が沈みやすくなるのは、肺が乾いている証拠でもあります。
だからこそ、潤いを取り戻すことは、心のケアにもなるのです。

梨のやさしい甘さは、身体の中の乾きと、心の奥の乾きを同時に癒してくれます。湯気の香りを吸い込みながら、ゆっくり深呼吸してみてください。そして、毎日頑張っている体と心を労ってあげてください。

おわりに

蒸した温かい梨を食べることで、喉がうるおい、呼吸が深くなり、心も軽くなります。薬膳の原点は、手間や珍しい食材ではなく、季節に合ったやさしい食べ方にあります。乾いた咳や声のかすれで悩む人も、ぜひ一度ためしてみてください。

おくすりが苦手な小さなお子さんも、ご高齢の方も、温かい梨なら食べられることも多いようです。副作用の心配もありませんしね。薬でもサプリでもなく旬の食材で整えてみてはいかがでしょうか。

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櫻井大典

国際中医専門員・漢方専門家
北海道出身。好きな季節は、雪がふる冬。真っ白な世界、匂いも音も感じない世界が好きです。冬は雪があったほうが好きです。SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず人気に。著書『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』 (ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)など。

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