こんにちは。気象予報士の今井明子です。
地域によっては梅雨入りし、ぐずついた天気が続く日々を送っている人もいることでしょう。
どんよりとした曇天や降り続く雨にすっかり気分が滅入ってしまいますが、梅雨時でも晴れることがあります。
そんな日は、夏至に近い高い太陽高度のせいで、日差しは強く、空気は蒸し暑く、一足早い真夏の訪れを実感するものです。こういった梅雨の時期の晴れ間のことを、梅雨の中休みといいます。
なぜ梅雨の中休みが起こるかというと、梅雨前線が動くからです。梅雨前線というのは、北のオホーツク高気圧と、南の太平洋高気圧の間にできる前線で、ふたつの高気圧の勢力が拮抗しているため、前線は同じ場所に停滞しやすいです。
…ですが、実はじーっと同じ場所に停滞しているのではなく、微妙に南北に動いたり波打ったりしています。それは、前線を挟む高気圧の勢力が日々変化するからです。
それで、前線のある所では雨が降りやすいのですが、前線が北や南に移動すると、その場所は晴れるのです。これが梅雨の中休みの正体です。
しばらく晴れ間が続いた後、また雨の日が続けばその晴れ間は梅雨の中休みです。しかし、ときには梅雨前線がそのまま北上してしまって戻ってこないこともあります。その場合は梅雨明けとなります。
梅雨入りと梅雨明けは、天気図と天候を見て気象庁の職員が判断し、発表をしています。しかし、それはあくまで速報値です。梅雨明けの発表を行った後にまたぐずついた天気が戻ってきたら、夏の終わりにその年の梅雨明けの時期が修正され、確定値となります。実際に2022年は関東甲信地方、中国地方は異様に早い梅雨明けの発表が行われたのですが、そのあとにぐずついた天候が続いたため、結局秋ごろの確定値は速報値より関東甲信地方は26日、中国地方は28日も遅くなりました。つまり、梅雨明けだと思っていたものが長い梅雨の中休みだったというわけですね。
かと思えば、梅雨の中休みだと思っていたのに、結局晴れた日が続いてしまい、異様に早い梅雨明けの発表に至ることもあります。このケースに当てはまったのは2025年で、九州南部から東海地方までは、平年よりも20日前後早い梅雨明けとなりました。
こんなふうに、梅雨の中休みとは実に曖昧なものなのですが、それでも雨が続いた後の晴れ間は気分が躍ります。雨に濡れた木々の緑もよりまぶしく、鮮やかに目に映るような気がします。

今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
