寒くなると空気が乾いてカラッカラになります。
お肌が乾燥したり、喉がいがいがしたり。
急に気温が下がる日もあって、少し油断をすると風邪を引きやすくなる季節です。
そんな状況をぴったりあらわす言葉を探していたら、「秋渇(あきがわ)き」という季語を見つけました。

しかし、よく見ると…あれれ。
「秋渇き」の漢字は、乾燥する「乾き」ではなく「渇き」になっています。
広辞苑で意味を調べてみると、両者には微妙な違いがあることがわかりました。
「乾く」・・水分がなくなること。
「渇く」・・のどがかわくこと。また、比喩的に、欲求を満たす或るものを求めている心的状態。
なるほど、「渇く」には「欲求」が含まれている。転じて「秋渇き」は、飢え渇くように食べ物をおいしく感じて食欲が旺盛になる「食欲の秋」をあらわす言葉なのだとか。普段の会話では使わない言葉ですが、こうしてあらためて意味を知るとおもしろいものですね。

そういえば振り返ってみると私も「秋渇き」を体験しているような気がします。
初秋のころは夏バテをしばらく引きずっていたけれど、秋の深まりとともに身体が整い、だんだんと食欲が回復してくる。
その状況を後押しするように、おいしい食材もわんさか出てきます。きのこにお魚、くりやかぼちゃ、新米に果物…。鍋の季節も到来し、食のイベントも増えてくる。
もう、食べることに大忙しです。
そもそも人間は、脂肪を蓄えるために冬へ向けて食欲が増すともいわれています。
そういう意味で「秋渇き」は、季節の変化とともに働く身体の欲求を表現している言葉なのですね。

私は先日、新米を食べました。近所の農家さんが採れたての新米を届けてくれたので、うれしくて朝からソワソワして夕食の支度をしました。
旬の魚を買ってきて、ホイル焼きにしながら味噌汁や卵焼き、ほうれん草のごまあえをつくり、食卓に並べました。
肝心の新米は、土鍋で炊きました。
いつもより丁寧に、時間を気にしながら炊いて…
蓋をあけたらモワッと湯気があがり、白くてツヤピカのご飯が炊き上がりました。

お気に入りのお茶碗によそって、姿勢を正して「いただきます」。
噛めば噛むほどに甘みが増して、おいしいおいしいと顔をほころばせながら食べました。
それはまるで、渇いていたものがスーッと潤いで満たされて、心の芯の部分までほぐしてくれるようでした。
今年は夏の暑さでお米の収穫が厳しい農家さんが多かったようです。
そんななかでも食べられるありがたみを噛み締めて、秋をたっぷり味わいつくしましょう。

高根恭子
うつわ屋 店主・ライター
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。
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