こんにちは。気象予報士の今井明子です。
今回は「月代」という言葉についてお話しします。
皆さんは月代と書いて何と読みますか?
「はいはい、これは『さかやき』でしょう? 難読漢字ですよね!」と答えた方、正解です。時代劇ファン、時代小説ファンならよくご存じですよね。戦国時代や江戸時代に男性がちょんまげを結うときの、髪の毛をそり落としたあの頭頂部。それが「さかやき」ですよね。
しかし今回のテーマは「さかやき」ではありません。
実は月代にはもうひとつ、「つきしろ」という読み方があります。その場合「さかやき」とは全く違う意味になります。今回はこの月代(つきしろ)についてお話ししたいと思います。
月代(つきしろ)というのは秋の季語で、月が出る前の東の空が白んでいる様子のことを指します。なぜ秋の季語かというと、特に十五夜の月の出を待つときの「まだかまだか」というような気持ちも込められているからです。
今の時代、日の出はまだしも、月の出によって東の空が白んでくるという感覚はよくわからないのではないでしょうか。夜は照明が煌々と街を照らしているので、満月がのぼる前の宵の口の空はさほど暗く感じないからです。しかし、昔は街に照明はないので、日が沈んだあと、東の空が明るくなってくるのを見ると、今以上にワクワクした気持ちになったに違いありません。
ただ、現代において月の出のワクワク感がないかというと、そうではないと思います。市街地では出たばかりの月はまわりの建物との比較で大きく見えます。きらめく夜の照明の中にポッと大きな満月が登場する様は、とてもきらびやかです。それを見ると、「さあさあ、満を持して主役が登場しましたよ!」といった、趣の違うワクワク感があるのではないでしょうか。
澄んだ秋の空にぽっかりと浮かぶ満月は、見ると不思議と高揚した気分になります。秋の夜長に、涼しい風に吹かれながら、満月を眺めてゆったり過ごすのは、なんとぜいたくなことなのでしょうか。
今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
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