こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。
日頃から言葉を紡ぐ仕事をしている私でも、日本語の奥深さには、いつも何度でも驚かされたり、しみじみと魅力をかみしめたりしています。
今回ご紹介する「麗らか」という言葉は、春の季節の心地よさをたったひとことで見事に表現し尽くしているといっても過言ではない、そんな日本語なのではないでしょうか。
俳句の世界では、もちろん春の季語となっています。

たしかに「麗らか」と耳にするだけでも、春の美しい光景や心地よい気候、それから希望に満ちた楽しげな様子が自然と思い浮かんでくるのが、この言葉の奥深さを物語っている気がします。
「うららか」という響きはもちろん、文字の見た目や雰囲気まで含めて、言葉が全力でその魅力を伝えたがっているようにも思えてきませんか?
改めて言葉の意味を調べてみますと、春のお日和そのものを指して「空が晴れて、日が柔らかくのどかに照っているさま」を表現したり、小鳥たちのさえずりを指して「声などが晴々として楽しそうなさま」を表現したり、非常に幅広い意味を含んでいることが分かります。

また、もうひとつ面白かったのは、古典文学の『徒然草』に「うららかに言ひ聞かせたらんはおとなしく聞こえなまし」の一文で登場する、「率直で心にわだかまりがなく、穏やかなさま」といった意味。
春の季節に限ることなく、気持ちが晴れやかで心配事などのない、明るい心境を伝える言葉としても用いられてきたのですね。
そういえば、日本の古典文学の中には、「うらうら」という「麗らか」に似た大和言葉がたびたび登場します。
神社で巫女がご神前に奉納する神楽舞の中に『豊栄舞(とよさかまい)』というものがあるのですが、そこに添えられた歌詞に「あけの雲わけうらうらと、豊栄昇る朝日子(あさひこ)を……」という一節があります。

この舞と歌詞は、明け方の空に雲を分け出でて「うらうら」と昇り、私たちにさまざまな恵みを授けてくれる太陽のありがたさを伝えています。
そう考えると、やはり春の「麗らか」な暖かさや心地よさは、「うらうら」と昇る日の光の暖かさや晴れやかさとつながっているのかもしれません。
たしかに春には、日の光がもたらしてくれる恵みや暖かさに、寒さ厳しい冬をやっと乗り越えた幸せを強く感じるものですよね。
外を歩けば心地よくて、自然と心も晴れやかで曇りのない、「麗らかな気分」になることも多いです。
この季節ならではの「麗らか」な気候や気持ちを、せっかくなので存分に堪能したいものです。
皆様も、この春の中で出会う「麗らか」さを、たくさん感じて楽しんでくださいね!

紺野うみ
巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。
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