おはようございます、こんにちは、エッセイストの藤田華子です。
紫陽花を見つけるたびに写真を撮ってしまうので、携帯のカメラロールが美しい青で染まっています。
さて、今日6月12日は「日記の日」です。
誰もが人生で一度はつけたであろう日記。いったいなぜ6月12日が記念日に定められたのかというと、1942(昭和17)年のこの日、13歳のユダヤ人の少女アンネ・フランクが日記を書き始めたからです。そう、時をこえて読みつがれる『アンネの日記』の始まりです。
『アンネの日記』は、ナチスドイツ占領下のアムステルダムでユダヤ人狩りを逃れ、アンネが隠れ家で暮らした日々を記録した一冊です。思春期の少女の成長、かけがえのない日常、そして戦争によって運命が変わっていく悲劇の貴重な証言として、聖書に次ぐベストセラーともいわれています。
作家志望だったアンネは、当時13歳ながら自分の『日記』を出版することを考え、書き溜めたものを推敲する作業を自ら進めていたそうです。
冒頭で「わたし自身も、ほかの誰も、13歳の女子中学生が心のうちをぶちまけたものに、それほど興味を持つとは思えません」というようなことを書いているにもかかわらず、なぜ筆を執ったのでしょう?
その理由として彼女は、「ほんとうのお友達がわたしにはいないから」と、孤独な心情を綴っています。「紙は人間より辛抱づよい」という言い習わしを引用しながら、心の底に埋もれているものを洗いざらいさらけ出せる場所にしたいと。
現在はオンラインの記録サービスがたくさんあり、綴った文を公開し、リアクションをし合うことが「日記」のスタンダードになりつつあります。
でもたまには、”辛抱づよい”と言われる紙に感情をぶつけてみてはどうでしょう。誰かに読まれることを前提としない場所では、ふだん気づけない心の声に耳を傾けられるかもしれません。
私自身、『アンネの日記』を好きだった祖母から、アンネと同じ13歳のころ日記帳を買ってもらいました。「私は」「今日は」から書き始めることを禁止するマイルールを作り、人に言えない思春期の焦りや、恋愛について書く。19年経ったいまも、その習慣は続いています。
たまに昔の日記をめくると、幼く悩みながらも前に進もうとする自分に微笑ましくなったり、恥ずかしさで顔から火が出そうになったり。正直に書かれた日記は、長い人生において財産になりうるものです。
大きな変化のなかで生活するいま、ぜひ正直な気持ちをしたためてみてはいかがですか。目まぐるしい日々を乗り切るヒントや、小さな幸せに気づくきっかけになるかもしれません。
藤田華子
ライター・編集者
那須出身、東京在住。一年を通して「◯◯日和」を満喫することに幸せを感じますが、とくに服が軽い夏は気分がいいです。ふだんは本と将棋、銭湯と生き物を愛する編集者。ベリーダンサーのときは別の名です。
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