こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。
1月1日から数えて、ちょうど半年の節目である6月30日。
全国各地の神社では、年に2度ある「大祓(おおはらえ)」という神事のうち、上半期の終わりに「夏越の祓(なごしのはらえ)」というものが行われます。
夏を越えるという言葉の由来は、旧暦の上ではこの日に「夏を越えて、秋を迎える」という意味があるため。
一瞬「えっ、もう秋の話?」と思われるかもしれませんが、今の暦に置き換えると8月半ばを過ぎたあたりのことなので、「夏を越す」というのもわかる気がします。
日本に古くから伝わる神道的な文化では、「清浄」がとても大切にされます。
これはもちろん、神社の境内を綺麗に整え保つことで、神様がその土地に心地よく居続けてくださるということでもあるのですが……。
それだけでなく、私たち人間が生きてゆく中で、知らず知らずのうちにため込んでしまった「心身の不浄」を清めるということでもあります。
この「夏越の祓」という神事は、この半年の間に「心や体に背負ってしまった罪穢れ(つみけがれ)」を、綺麗に祓い清めていただくというもの。
「罪穢れ」というのは、目に見える汚ればかりではありません。無意識のうちに抱いてしまっている心の内側のモヤモヤした想い、罪の意識の有無にかかわらずやってしまった善くない行為など、形のないものも指しています。
こういったものは、自分自身の力だけでは、なかなか祓いきれないものですよね。それらを、神様のお力を借りてスッキリ綺麗にしてから、また次の半年を健やかに乗り切るということなのです。
この祭祀で行われている代表的なことも、いくつかご紹介しましょう。
まず、この日が近づくと神社には「茅の輪(ちのわ)」といって、草を束ねて作られた大きな輪っかが現れることがあります。
この茅の輪は、左・右・左の順で横に8の字を描くように、3回潜り抜けることで病や災いを祓い除けると伝えられ「茅の輪くぐり」と親しまれています。
細かい作法は、地域によって伝えられているものが違う場合がありますので、お近くの神社で確認してみてくださいね。
また、「人形(ひとがた)」と呼ばれる人の形を模して作られた紙に、自分の名前・生年月日・年齢を書き、反省や願いを込めてその紙で身体を撫でて、息を3回吹きかけます。
これを、6月30日当日に行われる大祓の祭式にて神職がお焚き上げをするなどして、代わりに心身の祓い清めを行います。
このように、夏越の祓とは、現代風に言い換えれば「心と体を綺麗にデトックス」するような行事だと言えるでしょう。そうして、また新たな気持ちで残りの半年間を暮らしてゆくことができるようにと、この日本に神社という場所で受け継がれてきた行事なのです。
この半年を振り返ってみると、さまざまな出来事があったのではないでしょうか。せっかく節目となるこの日に、ぜひ皆様もお近くの神社に足を運んでみてくださいね。
きっと、心の内側からスッキリと、また今年の半分を過ごす元気や希望が湧いてくるはずですよ!
紺野うみ
巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。
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