こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。
皆さんは、日頃どれくらい「手ぬぐい」に馴染みを感じていらっしゃいますか?
近年では日常的に持ち歩く人こそ少なくなってしまいましたが、手ぬぐいの歴史は古く、奈良時代頃にはその原形が存在していたようです。
まだまだ布が貴重品であった当時の日本では、神事の際に身に着ける装束としての役割や、神仏の像や神具などを磨くための布として用いられていました。
日本人にとってとても大切な「清め」の役割を担う、特別なものだったわけですね。
手ぬぐいが庶民の間にも広まってきたのは、江戸時代に入って綿の栽培が盛んになってから。着物を作る際に出た切れ端などから、日本人の暮らしにおける必需品となる一般的な手ぬぐいが生まれたと伝えられております。
手ぬぐいといえば、なんといっても扱いやすさ、そして用途の広さが特徴的です。
平織りで両端が切りっぱなしであることから、縫い目が無いため乾きやすく衛生的ですし、小さく折りたためばかさばることもありません。必要な時にサッと取り出すことができて、とても便利ですよね。
それに、使っては洗って……と繰り返すうちに変化する柔らかさなども、自分の手に少しずつ馴染んでいくようで、愛着が湧くものかもしれません。
絶妙な長さがハンカチとしてはもちろん、包帯、歌舞伎・日本舞踊・落語などの伝統文化、農作業やお祭りの鉢巻き、剣道などにおける被り物としても活用されてきました。
手ぬぐいが「縁起物」としても親しまれる理由の中には、この「布を頭に被ったり、結びつけたりする」という行為が、精神統一や気合の向上、持っている力を最大限に発揮するためのアイテムとして意識されてきたこともあるでしょう。
そして現代でも、決して手ぬぐいが私たちの前から姿を消してしまったわけではありません。
むしろ、時折おしゃれな手ぬぐい専門店を見かけることがありますが、店内には可愛らしい模様から、季節を感じさせる絵柄、粋な和風の文様柄まで、眺めているだけでもワクワクするようなものがたくさんあります。
自由自在な取り扱いで、ちょっとした手提げバッグやペットボトル入れ、ブックカバーにもなるのだというから驚きです。
さらには、好みの柄の手ぬぐいを額に入れたり、掛け軸のようにして目で楽しんだりする文化も生まれているようですね。
和の物の美しさや素朴な便利さが見直されつつあるこの頃ですから、日本人が愛してきた文化と知恵を宿すアイテムのひとつとして、「手ぬぐい」も挙げられるのではないでしょうか。
もし、どこかで素敵な柄の手ぬぐいを見かけたら、あなたの身の回りのお気に入りに加えてみてはいかがでしょう。
紺野うみ
巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。
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