こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。
神社やお寺では、お焚き上げや護摩焚きなど、火を使った神事・仏事を行うことがよくあります。日本では古くから、自然の持つ力にあやかり、その神秘を畏れ敬う意味も込められたさまざまなお祭りが行われてきました。
今回ご紹介する「お火焚祭」も、そのひとつ。
このお祭りでは今年の秋の収穫に対する感謝と、火の力で祓い清めや厄除けを祈願するとともに、それぞれの願いが込められた護摩木(火焚き串)が焚き上げられます。
お火焚祭は、11月に入ると主に京都の神社仏閣で行われ、江戸時代から人々に親しまれ伝わったと言われています。
その細かい内容や意味は、神社やお寺によって実にさまざま。
お祀りされている神様によって、五穀豊穣・無病息災・商売繁盛の他、火や水の神々への感謝、火難除けなどその祈りも多岐にわたるため、「お火焚祭」と言っても、その中身をひとくちに説明するのはなかなか難しいかもしれません。
火おこしや神楽奉納などが行われたり、護摩木(火焚き串)の組み方もそれぞれに特徴が異なっていたりするのもおもしろいところ。
特に有名なのは、11月7日の貴船神社、11月8日の伏見稲荷大社のお火焚祭でしょうか。
お祭りの日程も比較的分散されているので、気になるお火焚祭を巡ってみるのも素敵ですね。
お火焚祭は神社やお寺で行われていますが、京都では町内や個人でも火を焚くところが少なくありません。
特に、火を使った商売をされている方(鍛冶屋・風呂屋・飲食店など)は、商売繁盛の御神徳を持つ稲荷神を崇敬していることが多く、自宅などの身近な場所でも火焚きをすることがあるようです。
人の暮らしと神仏を敬う信仰心は、私たち日本人の心にとても身近なものとして寄り添っていることを感じます。
それにしても、火焚きによって暗闇に浮かび上がる炎の姿を見ていると、やはり「火」に宿る神秘的な力について想いを馳せずにはいられません。
空に向かって伸びてゆく大きな炎や迫力ある煙の姿は、私たちの願いが目には見えない世界にいらっしゃる神々へと届くかのようにも思えます。
きっと、長い歴史の中でお火焚きの炎を見ていた人々も、揺らめく炎の中にそんなイメージをしてきたのではないでしょうか。
あなたが神社仏閣などで焚かれる「火」に出会ったときは、それが持つ神聖な浄化の力や、神仏に祈りを届ける力を信じてみてくださいね。
きっと心の中にも、あたたかな火が灯るのではないでしょうか。
紺野うみ
巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。
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