こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。
今年も早いもので、前半の半年が終わろうとしています。
皆様にとって、上半期はどんな月日になったでしょうか?
振り返ってみると、きっとそれぞれの方なりに「こんな半年間だったなぁ」という感想があるのではないでしょうか。
過ごした時間に対する評価の良し悪しはさまざまかと思いますが、このあたりで一度気持ちをリセットして、明るい心で来る下半期を迎えたいところです。
この節目の季節、多くの神社では大切な神事が行われていることをご存知でしょうか。
お近くの神社に足を運んでいただくと、もしかすると境内のどこかに茅(ちがや)という草をまとめて作られた、「茅の輪(ちのわ)」という大きな輪が置かれているかもしれません。
これは、毎年半年ごとの節目で行われる、「大祓(おおはらえ)」という祓い清めの神事にまつわるもの。
特に6月末の節目を、夏を越えると書いて「夏越(なごし)の大祓」と言います。
旧暦に置き換えると8月半ば過ぎの頃になりますから、「夏を越えて、秋を迎える」に際して、心身を清浄な状態に整えるという意味が込められている行事です。
神道の世界では、人は誰しも生きる中で、心や体に「罪穢れ(つみけがれ)」という心身の不浄を背負ってしまうものとされています。
「罪穢れ」というのは、私たちが罪の意識の有無を問わず行ってしまった善くない行為や、無意識のうちに抱いてしまっている心の曇りなどによる、内面的な不浄のことを言います。
これらは、本来の健全な魂や生命力を弱めてしまいますから、神様のお力をお借りして定期的にお祓いをすることで、心身の状態を整えながら生きていくことが大切だということですね。
その祓い清めの手段のひとつとして、「茅の輪」を次のような手順でくぐることで、罪穢れや災厄を祓うことができるとされています。
茅の輪のくぐり方
①茅の輪の手前で一礼をして、左回りに1度くぐって再び正面へ。
②もう一度茅の輪の前で一礼をし、今度は右回りに1度くぐって正面へ。
③茅の輪の前でさらに一礼。再び、左回りに1度くぐって正面へ。
④最後にもう一礼してから茅の輪をくぐり、そのまま御神前へ進み参拝を行う。
言葉で説明すると難しく感じられるかもしれませんが、要は8の字を描くように、3回茅の輪をくぐり、最後にお詣りをすれば良いのです。
茅の輪の由来は、日本に伝わる「蘇民将来(そみんしょうらい)」という伝承から来ています。
かつて疫病が流行ったとき、蘇民将来という心優しい人物がスサノオノミコトという神様の教えに従って腰に茅の輪を下げたところ、子孫代々に至るまで災いなく繫栄したという物語。
これが元となり、現在では多くの神社で、無病息災を祈り災難を退けるための方法として、「茅の輪くぐり」が行われるようになりました。
やはり人間にとっての大きな幸福は、自分自身や周りの大切な人たちが、みな健康で心健やかに、災難に遭わず過ごしていけることなのではないでしょうか。
しかし、誰だってただの一度も間違ったことをせずに、言葉も行動も完璧に善い人として美しく生きられるというわけではないと思います。
どんなに真面目に努力していても、日々の中で心にモヤモヤした想いが溜まってしまうことも、少なくないですよね。
日本に伝わるこのような文化は、そのような心の曇りを何度でも払い除けて、心明るく生きていくため、先人たちから受け継がれた知恵の結晶と言えるのではないでしょうか。
皆様の身近にある神社でも、茅の輪が置かれているかもしれません。
見かけた際には、ぜひくぐって、神様にお詣りしてみてくださいね。
紺野うみ
巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。
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