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土用入りどよういり

暦とならわし 2024.07.19

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こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。

「そろそろ土用入りだね」といった会話のやり取りは、近年あまり耳にしなくなってきているでしょうか。
土用とは陰陽五行思想から取り入れられた、雑節という、日本に受け継がれる暦文化の中のひとつ。
雑節は、もともと中国由来であった二十四節気や七十二候などに加えられる形で、日本人の暮らしに合わせて作られた日本独自の暦文化です。

そして土用は、立春・立夏・立秋・立冬の前18日間のこと。土用に入った最初の日を「土用入り」と呼んでいます。
つまり、それぞれの季節が終わる前の一定期間のことであり、季節の変わり目となる節目を示しているわけですね。

土用の時期は、移りゆく季節の変化に体が間に合わず、うっかり体調を崩しやすい時期だとも言えます。
そこで、旬の物を口にするなど養生しながら体を労わり、日々を丁寧に過ごすための習慣が、暦の中にしっかりと織り交ぜられています。

中でも有名なのは夏の土用(立秋前の18日間)で、特に土用の丑の日と言えば、うなぎを食べるならわしが今なお有名ですね。
うなぎ以外にも、夏土用の丑の日には、丑の「う」がつく食べ物(うなぎ・梅干し・瓜・うどん)や黒い食べ物(シジミ・ナス・黒胡麻・黒豆など)を食べると縁起がよいと言われています。

令和6年の夏土用は、7月19日 (金)~8月6日 (火)。
そして、この期間中に「土用の丑の日」は7月24日(水)と8月5日(月)と2日もチャンスがありますから、ぜひ実践してみてはいかがでしょうか。

さて、「土用」は文字通り「土の神様」である土公神(どくしん・どこうしん)が司る期間と考えられていることから、土の中に居られる神様を嫌がらせたり怒らせたりするような「土を動かす作業」(土いじり、草刈りや草むしり、井戸掘りや穴掘り、増改築、建築の基礎工事、地鎮祭など)を忌み慎むというならわしもあります。

しかし、春夏秋冬それぞれに土用があるので、一年間で合計72日間もの土用期間中にこれほど多く慎むべきことがあると言われても、なかなか現実的に難しいものですよね。
そんな場合は、土用の間でも「間日(まび)」と呼ばれる日であれば、土公神が土の中から出て天上界へ戻られているため、土を動かす作業を行っても良いとされています。
令和6年の夏土用の間日は、7月19日/7月26日/7月27日/7月31日。
土に関する作業を行う場合は、こういったタイミングを意識するとよいのではないでしょうか。

そのほかにも、夏土用には「土用干し」という行事があります。
湿気が多いこの季節、虫がつかないように衣類や書籍などを干したり、梅干しや水田を干したりするということも、この期間に行われてきました。
今はさまざまな文明の利器が私たちの暮らしを助けてくれていますが、かつては季節に応じて「必要なことを漏れなく行うための工夫」が、暦の中にしっかりと取り入れられていたことが伺い知れます。

このように、先人たちはこの日本で季節とともに暮らしを営む中で、数多くの知恵と工夫を授けてくれています。
暦のならわしを知るということは、旬を知るということであり、この国の季節を知るということ。ひいては、自然の恵みの中で、心身ともに豊かな暮らしを実践するということなのではないでしょうか。

本日は「土用入り」です。
この期間だからこそやってみたいこと、自分の体を労わって丁寧に過ごすこと――。
前向きに取り組んでみていただければ、とてもうれしく思います。

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紺野うみ

巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。

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