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流れ星

月と星 2020.08.11

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こんにちは。星空案内人の木原です。

毎年8月12日前後はペルセウス座流星群が見頃を迎えます。流星群とは特定の時期に多くの流れ星がやってくる活動のこと。ペルセウス座の方向から流れてくるためペルセウス座流星群と名付けられています。流れ星が宙を駆け抜ける時間は1秒もないほどとても速く、いつ宙に現れるのかも分かりません。1つでも多くの流れ星を見るためには宙全体を眺めることがポイントです。お願い事を3回唱える練習もお忘れなく。

流れ星と聞くと、なんだかロマンチックな気持ちになりますよね。しかし、夢あふれる流れ星の正体は、なんと小さな石粒や塵。太陽を周回する彗星によって遠くの宇宙空間にある塵が運ばれてきて、その塵が地球の大気に突入したときに起こる発光現象が流れ星と考えられています。塵と聞くと、なんだかロマンがないように感じますが、流れ星となった塵の中には何万年も宇宙を旅して地球に来たのかもしれません。遠い宇宙からの贈り物が、私たちを楽しませてくれています。

平安時代頃の日本では、流星や彗星といった宙に流れる星に対する認識は異なり、災いの予兆だと考えられていました。それが原因で改元が行われたほど。江戸時代頃になって「流星と吉凶は無関係」という認識が広まったそうですが、流れ星の捉え方は地域によって様々。忌み嫌われる地域もあれば、天の神様からの使いと考える地域もあったようです。

岡山県井原市にある美星町という町には、流れ星にまつわる伝説が残されています。昔、この地に流れ星(隕石との説も)が落ちてきました。人々は神様の使いだと信じて、流れ星を小さな祠に奉納し、明神様として信仰しました。落下から100年後のこと、この地を治める豪族が重い病に倒れてしまいました。病が治るように祈りを捧げていると、「星」と「尾」が夢に現れ、それをきっかけに回復したのです。星と尾は二十八宿(中国由来の星座のようなもの)のうちの2つ。星にまつわるものが現れたことから明神様のご加護を感じ、豪族は星尾神社を建立しました。星尾神社は今でも地元を見守り、この町は星の郷と言われるようになりました。

科学的に見れば、流れ星に病を治す力があるとは思えません。しかし、それ以上に人が願う気持ちというのは何かを変える力があるのかもしれません。流れ星は今も昔も、人が願いを叶える源を引き出すきっかけになっているように思います。あなたは流れ星に何を願いますか。

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木原美智子

星空案内人
広島県出身。瀬戸内の宙を見て育ちました。好きな季節は、コスモスが咲き、凜とした空気が漂う秋。宙を見上げるのが好きなので、星だけじゃなく宙にあるもの、宙に関わる文化に興味があります。ペンギンと野球も好き。

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