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うしかい座

月と星 2021.05.12

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こんにちは。星空案内人の木原です。

日中はぽかぽか陽気でも、日が沈んで夜を迎えるとまだ肌寒く感じる今日この頃。夜空では、春の星座たちが宙高くで輝いています。今日は春を代表する星座のひとつ、うしかい座のお話です。

うしかい座は、隣のりょうけん(猟犬)座を引き連れている姿で描かれます。うしかい座にある一等星のアークトゥルスがとても明るくよく目立つため、春の星座の中でも見つけやすい星座です。

うしかい座は、ギリシア神話ではティタン神族の神アトラスがモデルになったと伝わっています。全能の神ゼウスが世界を支配した時にティタン神族は服従を拒んだため、ゼウス率いるオリンポス神族と激しい戦争が起こりました。10年にも及んだ戦争の結果、ティタン神族はオリンポス神族に負けてしまいます。戦の後、ゼウスは罰としてアトラスに天(宙)を支えることを命じ、それ以来アトラスは天が落ちてこないように支え続けています。とても責任重大な厳しい罰ですね。

アトラスに関する話は他にもあります。ローマ時代にギリシア神話をベースとして書かれた物語には、アトラスは大きな山に変えられてしまった、と記されています。怪物退治をした勇者ペルセウスが、退治した証拠に怪物メドゥーサの首を母国に持って帰る途中、アトラスのところで休憩をしようとしました。それに気が付いたアトラスはペルセウスに「袋の中のメドゥーサの首を見たい」と頼みます。メドゥーサを直接見た者は石に変わってしまうためペルセウスは少し悩みましたが、頼み通りメドゥーサの首を見せると、案の定アトラスは山に変わってしまいました。もしかしたらアトラスは、硬い山に姿を変えて天を支え続ける方が少しは楽になると考え、わざとお願いしたのかもしれません。

ちなみに、アトラス山脈はアフリカ北西部に実在します。アトラス山脈に住む人々の言葉で、山のことをアドラ(ス)と呼び、アトラスが語源と考えられています。

16世紀に地理学者メルカトルが出版した地図帳の表紙にアトラスを描いたことがきっかけで、アトラスは天ではなく地球を担ぐ姿で描かれるようになったという話があります。これには諸説ありますが、英語でアトラスは地図帳のこと、日本ではアトラスという名前の地図帳が販売されていて、現代では地球を持つアトラスの方が馴染み深いかもしれません。どちらにしろ、私たちの星と宙を支えてもらっているなら感謝の気持ちでいっぱいです。

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木原美智子

星空案内人
広島県出身。瀬戸内の宙を見て育ちました。好きな季節は、コスモスが咲き、凜とした空気が漂う秋。宙を見上げるのが好きなので、星だけじゃなく宙にあるもの、宙に関わる文化に興味があります。ペンギンと野球も好き。

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