こんにちは。星空案内人の木原です。
仕事で星や宇宙の話をするときに「昨日、月を見た人いますか?」と質問して、参加者のどれくらいが宙を見上げているかを尋ねることがあります。毎回のようにこれをやっていると、たまに新月で月は見えないはずなのに手を挙げてくれる人がいます。その時は「新月が見えたのですね」とフォローすると会場の雰囲気がほぐれるので、手を挙げてくださった人に感謝したくなります。
月が満ち欠けをしていることは、暦生活ファンの皆様ならご存知だと思います。新月の時は太陽の光が当たっていない月の夜側だけが地球に向いているため、地上から月の姿を確認できません。
月が始まる日として新月の日を「月立ち」と呼び、そこから「ついたち(1日)」となりました。月の満ち欠けをベースにした旧暦では、ひと月に新月が起こるのは1回のみです。しかし、私たちが今使っている暦には太陽の動きをベースにしているので、ひと月に新月が2回起こることがあります。
今日は、まさに2022年5月の2回目の新月の日。文化的な呼び方としてブラックムーンと名付けられています。ブラックの名の如く月が黒く見えるのかというと、新月なので月は見えません。“何も見えない”という意味ではブラックと表現するのはぴったりだなと思います。
文化的な分野から発生したブラックムーンという言葉には、いくつか定義があるようですが、一般的によく知られている定義は「その月の2回目の新月」です。
特別に名前がつくほど珍しい頻度で起こるのか調べてみると、今回の次にブラックムーンとなるのは2024年12月31日の新月、その次は2027年9月30日、2030年7月30日と3年に1度程度の割合で起きています。こうして日付を並べてみると「今日はちょっと特別な日だ」と実感できますね。
姿を確認することはできないけれど、いつもと何ら変化のない新月が特別に感じるのは、私たち人間が月に文化を見出したからこそだと思います。日本には、十五夜、十三夜、二十六夜待ちなど月に関する文化が古くから続いています。最近は、スーパームーンやピンクムーンなどアメリカ由来の月にまつわる文化的な言葉も知られるようになりました。
地球と月は天体物理学的にも、文化的にも結びつきが強い関係です。ブラックムーンの日は、月と私たちの結びつきを改めて確認させてくれる機会にちょうど良いかもしれません。今日は見えない月の姿に想いを馳せてみませんか。
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