今日の読み物

読み物

お買い物

人気記事

特集

カート内の商品数:
0
お支払金額合計:
0円(税込)

名月

月と星 2023.09.29

この記事を
シェアする
  • X
  • facebook
  • B!
  • LINE

こんにちは。巫女ライターの紺野うみです。

いつの間にかやって来て、いつの間にか過ぎ去ってしまう、短くてどこか儚い秋。
そんな貴重な秋の季節を大切に楽しみたいとき、風情のある「お月見」はいかがでしょう。

今回のテーマは「名月」。
旧暦の8月15日はいわゆる「十五夜」と言って、月が特に美しく見える秋の日。「中秋(ちゅうしゅう)の名月」とも呼ばれています。
旧暦において、秋は7・8・9月の三ヶ月間を指し、その中間にあたる8月15日を「中秋」と言います。

この日は、澄んだ空に浮かぶ美しい月を眺めながら、月見団子をお供えしたり、お酒を楽しんだり、すすきを飾ってみたり……。
思い思いに、秋の魅力を堪能できる、よい機会になるのではないでしょうか。

十五夜にお月見をする文化は平安時代に中国からやって来て、貴族社会から始まったと言われています。
江戸時代になる頃にはそれが庶民の間にも伝わってきたのですが、いつしか秋の収穫を祝い感謝する意味合いで、神様へお供え物を捧げる行事としても広がっていきました。

農作業は月の満ち欠けによって時の流れを見ながら行われていただけでなく、収穫の時期である秋に見上げる丸い満月は物事の「実り」や「幸福」を連想させ、豊穣の象徴とも言われています。
それで昔の人々はいつしか、太陽だけでなく月の神様にも五穀豊穣を祈り、感謝するようになったのでしょう。

また、この中秋の名月は別名「芋名月」とも呼ばれていて、稲だけでなく芋類の収穫祭としても各地で行われてきました。
かつての日本人は、四季折々の暮らしの中で自然を身近に感じ、その存在に祈り感謝する文化を、毎年当たり前に行う行事として賢く丁寧に受け継いできたのですね。
各地で、月を見ながら食や音楽などを楽しむ「観月祭」などが催されるのも、その美しい文化が私たちの生きる時代まで脈々と繋がってきたことを感じさせてくれます。

そういえば、月はひとつの天体でありながら、姿かたちや色をさまざまに変えて私たちを驚かせ、楽しませてもくれますね。
その多面的で神秘的な姿は多くの人に愛され、「○○月」「○○ムーン」など、月につけられた名前や愛称は数えきれません。

思えば、月は見上げるたびに、自分の心をも鏡のように映し出しているような気持ちになったものでした。
寂しいときや哀しいときには、そっと寄り添ってくれているようで、満たされているときや嬉しいときには、その光がよりあたたかく感じられたこともありました。

時に大きく大胆に、時に小さく控えめに。まあるくなったり、かと思えば、細くなり隠れてしまったり。白く光ることもあれば、黄金色に輝く日もある……。
いつの時代も、月の美しさに魅せられながら、私たちは生きてゆくのかもしれませんね。
今日は「中秋の名月」ですが、あなたにとっての「名月」はどんな姿をしているでしょうか?
夜、思い立ったときには空を見上げ、ぜひその神秘的な姿を探してみてくださいね。

この記事を
シェアする
  • X
  • facebook
  • B!
  • LINE

紺野うみ

巫女ライター・神職見習い
東京出身、東京在住。好きな季節は、春。生き物たちが元気に動き出す、希望の季節。好きなことは、ものを書くこと、神社めぐり、自然散策。専門分野は神社・神道・生き方・心・自己分析に関する執筆活動。平日はライター、休日は巫女として神社で奉職中。

記事一覧

紺野 うみ|オフィシャルサイト