こんにちは。星空案内人の木原美智子です。
明日は七夕。七夕と聞いて思い浮かぶのは、笹に揺れる短冊や、織姫と彦星の物語ではないでしょうか。子どもからお年寄りまで親しまれている七夕のお話で、必ずと言っていいほど登場するのが二人を隔てる「天の川」です。皆さんは、この天の川の正体を知っていますか。
天の川は淡く輝く帯状の天体のこと。その正体は、星がたくさん集まった大集団です。ここにいるひとつひとつの星の明るさはとても弱いけれど、たくさん集まることで白くぼんやりと宙に現れます。現代では、夜空が暗い場所でなければ馴染みがありませんが、七夕伝説が生まれた時代、漆黒の夜空に輝く白い帯に、当時の人々は魅了され、様々な物語が誕生したのだと思います。
白い帯の正体が星の大集団だと発見されたのは望遠鏡が発明された1600年代に入ってから。以降、研究者によって観測が重ねられ、私たちは星の大集団の中にいる、ということも判明しました。この、星の大集団のことを“銀河”といい、私たちが住む銀河は特別に“天の川銀河”と呼ばれるようになったのです。
なぜ、天の川は他の天体とは違って、帯のように見えるのでしょうか。その理由は、私たちが「天の川銀河」という大きな星の集団の内部に住んでいるから。これをイメージしやすいよう「どら焼き」に例えてみましょう。
天の川銀河はどら焼きのように、真ん中に膨らみをもつ平らな円盤状をしています。あなたは小さな蟻で、どら焼きの内部に潜り込んだと想像してください。真ん中の餡子まではたどり着けず、生地の端からちょっと進んだところで周りの様子を見てみました。中心のあんこが密集した方向を見るとボリュームたっぷり。反対の外側を見るとちょっと寂しいです。
地球も天の川銀河の円盤内部にあるため、私たちはこの星の大集団を常に「内側から」見ていることになります。そして、天の川銀河の中心方向を見た時に見えるボリューム満点の無数の星の輝きこそが、七夕伝説の舞台となった天の川の正体なのです。
天の川銀河にある星の数は、約2000億個はあると考えられています。1個1個数えるには何千年もかかってしまうほどの大集団の中に、私たちが住む星である地球はあります。いま、夜空で見えている星の多くは同じ天の川銀河に住むご近所さん。そっちの星はどうだい、こっちの星では今日こんなことがあってさ、と。星空を見上げながら問いかけてみると、きらり、とお返事がくるかもしれません。

