こんにちは。星空案内人の木原です。
日中の秋晴れの暖かさも、日が沈むと一変。涼しいを通り越して寒い時期になりました。空気は乾燥して夜空に輝く星々がくっきりと見える日も増えてくる頃。そろそろ冬の星座たちが主役となってくる時期を迎えています。今回は冬の星々の中でもひときわ明るくて赤い、おうし座の一等星アルデバランのお話です。
赤い星といえば、夏を代表する星座さそり座の一等星アンタレスがあります。その赤さから、同じく赤く輝いて見える火星との対比が昔から親しまれてきた星です。夏の赤い星がアンタレスなら、冬の赤い星はアルデバラン。同じく冬の赤い星オリオン座のベテルギウスとともに、夏から冬へ赤い星のバトンタッチが行われています。
アルデバランという名前の由来は、アラビア語の「アル・ダバラーン(後を追う者)」から。日本での和名にも「後追い星」があります。何を追っているかというと、同じくおうし座にあるプレアデス星団(和名すばる)です。プレアデス星団は、羽子板や小さな柄杓形に星が集まっている星団。その特徴の覚えやすさから古来、暦を知る目印として重要な役割を担ってきました。そのプレアデス星団を追いかけるように昇ってくる明るく赤い星がアルデバラン。そいつを気にするな、と言うのは無理があるくらいに目立つ星です。
アルデバランの赤さはその年齢に関係があります。アルデバランがまだ若い頃は星の色も白かったと考えられています。しかし何十億年と経つうちに、輝くためのエネルギーを使い果たしてしまい膨張して今の色味になってしまいました。これは決して悪いことではなく、星にも一生があることを教えてくれています。人間は歳を経れば老化が起こり、体に変化が現れますよね。それと同じようなもので、星も歳をとると赤く膨れ上がるタイプがあるのです。
夏の赤い星アンタレスも老年期のため赤くなっていると考えられていますが、アルデバランとはまた違った一生を送っているようです。星の一生がどうなるかは誕生したときの質量で決まるのですが、アンタレスは重すぎたために早めにエネルギーを使ってしまい、今の状態になったと言われています。
同じ赤い星でも歩む道筋は異なります。今見えている姿しか私たちは把握することはできませんが、ここに至るまでの星の輝きに人間の寿命よりもうんと長い歴史があったと思うと、本当に星空の世界は雄大で美しいな、と感じます。

