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二十四節気と暮らしの道具/小寒しょうかん

二十四節気と七十二候 2025.01.05

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小寒 1月5~19日 十二月節〈冬至より一陽起るが故に陰気に逆らう故、ますます冷ゆるなり。『暦便覧』〉

寒仕込みに瓶を使う

年が明けたと思ったら、小寒、寒の入りとなりました。これから約30日間は、寒中です。小寒の次には寒さの極の大寒があるわけですが、じっさいもっとも寒いのは小寒だとか。厳しい寒さがあっての春迎え、ひとつ辛抱して乗り切りましょう。

寒中ならではのものも様々にあります。寒稽古に寒中水泳と、寒さをついてするからこそ心身の鍛錬になる、というもの。さらに、酒や味噌の寒仕込みもありますね。白菜漬けもこの時季に。

そんな寒仕込みに使いたいのが、焼き物の瓶。常滑焼の茶色い瓶が多く見られます。大小のサイズが揃っていて、仕込むものによって大きさを選びます。一時期、砂糖壷や塩壺などにも使っていたので、我が家の台所はチビ瓶からデカ瓶まで並んでいました。

地域によっては織部風の緑色の釉薬のものや、濃い色のものもあるようです。旅先で見慣れない色の瓶を見かけると、瓶好きなものですから、
「ああいいなあ、欲しいなあ」
と思ったものでした。が、大きな瓶を背負って旅を続けるわけにもいかず、諦めたことも何度か。何年もたった今でさえ、ありありとその瓶の様子を思い出すことがあります。なんとか工夫すれば手に入れる方法だってあったのに、といまさら後悔しても、それは後の祭りというもの。

味噌の寒仕込みをしながら思うのは、寒いいま仕込めば、半年後の七夕のころに味噌びらきだな、ということ。寒い頃は、暑さがどんなものかもうまく思い出せないものです。暑いさなかに、寒いってどんなだっけ、と想像しにくいことと同じですね。

それでも時は経ち、日々は過ぎます。気がつけば味噌が仕上がる暑い季節になっていることでしょう。そう思えば、この寒さも大切に思えます。今の季節をじっくり味わい体感してこそ、次の季節もまた新鮮に迎えられるというものです。

まずは寒さの中で瓶を洗って日に干して、寒仕込みの準備をするとしましょう。

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平野恵理子

イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。

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