◎秋分 9月23~10月7日 「ケイトウとモズ」
秋分、秋彼岸の中日です。この日太陽は真東から昇り、真西に沈みます。昼と夜の時間が同じで、これからは昼が短く、夜が長くなっていきます。いよいよ秋も本格的に。
秋のお彼岸のお墓参りには、ケイトウの花を供えたい。秋だなあ、と感じられる花だからです。可憐な花びらが優しく開く、一般的に認知されている「花」とは少々趣きを異にしますが、ケイトウの花、なかなか魅力的なのです。
ケイトウはヒユ科の一年草、熱帯アジアやインドが原産です。日本にはかなり古くから輸入され、長く観賞用の花として親しまれてきました。「ケイトウ」という名前は、花が鶏のトサカのようだからついたようです。「鶏頭」ですね。
幼少のころ、鶏頭などという言葉は知らないので、この花の名は「ケイト」だと思っていました。花全体がモソモソした毛糸のようだから、と納得していたのですね。「鶏頭」じゃなくて、「毛糸」。子供は子供なりに、自分の語彙の範囲でものごとを理解しようとするのでしょう。
ケイトウの花が咲くころ、モズの高鳴きが聞こえてきます。縄張りをもって暮らすモズは、戦わなければならないこともあるようです。木のてっぺんや枝先、物干しに止まって尾を回している姿を目にすることもあります。
ちょっと頭でっかちでずんぐりしたモズ。真剣に縄張り争いをしているとは分かっていても、その様子がどこか微笑ましく、見ていてクスリと笑ってしまうこともあります。
お彼岸のお墓参りへ行く途中、農家の庭先に、ケイトウの花と高鳴きをするモズを見られるかもしれません。楽しみに出かけることと致しましょう。

平野恵理子
イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。
