七十二候では小雪の次候「朔風払葉」(きたかぜこのはをはらう)に入りました。朔は新月、各月の始まり、月立ちであることから「ついたち」と読み、「はじめ」を意味します。また方角では真北を意味しますので、「朔風(さくふう)」といえば北風のことで、冬の冷たい木枯らしが吹き始め、木の葉を払い始める頃という意味合いです。
すでに紅葉狩りを楽しまれた方も多いかとおもいますが、色鮮やかに燃えていたモミジもいよいよ盛りをすぎ、はらはらと散り始めました。
日本人に愛されてきた朽葉色
最初は色鮮やかですが、次第に色褪せていく様子も、何か胸に沁み入るようで、しみじみとよいものだなあと思います。昔の人も、時間の経過とともに変化していくこの朽葉色をこよなく愛していました。赤朽葉、黄朽葉、青朽葉、薄朽葉、濃朽葉など、日本の伝統色には「朽ち葉」の名をもつものがたくさんあります。
落ち葉は自然の造形美そのものであり、無限の色の宝庫です。江戸時代は奢侈禁止令によって茶色が流行したこともあり、「朽葉四十八色」ともいわれるほど、昔は微妙な色合いの違いが認識され、染め物の見本に用いられてきました。
一瞬の出会いのきらめき
同じ場所でも、雨に濡れているとき、乾いたとき、陽が当たっているとき、日陰のとき、時間によっても刻々と違ってみえ、今にしかない光景との一瞬の出会いは「時」のきらめきそのものですね。地面をみると赤い葉が多い場所、黄色い葉が多い場所、夏には気づかなかった木々の存在に初めて気づかされたりします。
さまざまな木の葉が寄せ集まる様子を「吹き寄せ」といい、「富貴寄せ」として和菓子になったり、具沢山な炊き込みご飯に模して楽しんだりしますが、木の葉をみていると本当にくるくるとよく回って、風がはっきりとみえることがあります。誰が掃除をしたわけでもないのに、落ち着いた場所にいつのまにか吹き溜まって、仲良く身を寄せ合う木の葉たち。
これは桜の木の下で撮った一枚です。桜の紅葉はとてもにぎやかです。赤、黄、紫、橙、斑ら、虫食い、同じものがないカラフルで個性的な木の葉たち。桜は春、にぎやかに散りますが、秋も色鮮やかになって、豪華に散っていきます。
初冬の大地は一年でもっともにぎやかな季節、ともいえるかもしれません。これからしばらくの間、日々変わっていく足元の色を存分に楽しみましょう。
文責・高月美樹
文中写真:高月美樹
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