◎夏至 6月21日~7月6日
氷宇治金時 氷白玉 氷いちご 寒氷 水無月 冷やし汁粉
氷
夏至になりました。暦でいうと夏至は夏の真ん中で、一年の中でもっとも昼間が長い日です。今まさに梅雨の真っ最中。長雨が続いて、洗濯物が干せずに困る季節でもあります。
ただ、梅雨の間に気温はいつの間にか上がり、真夏のような暑さになることもしばしば。もう氷で涼を取りたくなるのもこのころからです。甘いものを食べさせるお店では、「氷」の文字も涼しげな、のぼり旗が揺れ始めていることでしょう。
昔のかき氷は、大きな氷の塊を鉋(かんな)で削っていたようです。日本画家、鏑木清方の連作《明治風俗十二ヶ月》の中の「氷店(八月)」では、浴衣姿の若い娘さんが、鉋を据えた台に向かって氷を削っている様子が描かれています。白地の浴衣に赤い襷(たすき)が爽やかです。
氷といえば、6月30日の夏越しの祓えに食べるお菓子「水無月」は、氷室の氷を表しているといわれます。白い外郎菓子の上に蜜煮にした小豆がのったものですが、三角に切ってあるのが特徴で、これが氷を表現しているのですね。その昔、冷蔵庫などなかったころ、暑い時季の氷室の氷は特別に貴重なものだったことでしょう。
また、氷ではないけれど、氷を表したお菓子に「寒氷」があります。中は寒天で透明感があり、周りは薄く固まった砂糖がシャリリとこれまた涼しげ。お茶席にもよく出されるお干菓子のひとつです。
夏至を過ぎると日一日と昼間が短くなっていきます。さらに梅雨明けに向かって、空模様はだんだん荒れてくる傾向に。暑さだけでなく、大水などにも注意して過ごしたい季節です。
文・イラスト 平野恵理子

平野恵理子
イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。
