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さざえ

旬のもの 2020.04.28

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こんにちは。漁師をしている三浦尚子です。

いよいよGWも目前。今年はお出かけが難しくおうちで過ごすGWになりますが、いつもだと、違う海の町に行って散歩をしたりしています。にぎわいのある浜辺近くを歩いていると、いいにおいがしてきたなあと思い出します。
ソフトクリーム、焼いたサザエを売っているお店を見かけたりして、磯のにおいにふらりと立ち寄ることも。網の上で焼いて、できたての身に醤油をたらりと落として食べるサザエは最高ですよね。今日はそんなサザエについてのお話です。

サザエは北海道から九州と、広く生息しています。さらに奄美以南にはサザエの仲間のヤコウガイやチョウセンサザエも生息しているので、全国的と言っていいのかも。
貝殻が一枚で続いてできている一枚貝のサザエは海藻が大好きで、浅い岩礁に生えた海藻をもぐもぐと食べながら月日をかけて成長していきます。

サザエにはゴツゴツとしたトゲが生えている貝とトゲのない貝がいるのですが、見た目に違いはあれど、どちらも同じサザエ。住んでいる海の環境によって、体つきが変わります。波の荒い環境で育つとトゲが生えて、おだやかな海で育つとトゲは伸びずにさらりとした貝殻になるのです。

また、貝殻が小さい家に見えることから、「小(ササ)」と「家(イエ)」という言葉が変化して「サザエ」という名前で呼ばれるようになったそう。
ぐるぐると巻いている貝の部分は、三角屋根の家のようです。

ところで、サザエを含む貝類は縄文時代の頃のから食べられていたのですが、 縄文人は素もぐりをして漁をしていました。貝塚ができるほど貝が食べられていたということは、昔から貝は生活に欠かせない食べ物だったことがわかります。

また、「素もぐり」つながりということで、海女さんをご存知でしょうか。海にもぐって、海中に住んでいる天然物のサザエやウニなどを獲る方々。
息を止めて海底までもぐり、手作業で貝を岩礁から剥がして、水面に上がるのを何度も繰り返して漁をしていきます。海女さんたちの素もぐり漁は古くから伝わる伝統的な漁法のひとつです。

縄文人も海女さんも、どちらも共通しているのは自分の手で獲るということ。私は素潜りをすることがないので、海に潜って自分の体や手を使ってサザエを獲ってくる海女さんたちはすごいなあと思っています。

 

サザエは網の上で焼くイメージが強いけど、ホットプレートでつぼ焼きにして庭やベランダで食べるのもいいかもしれません。
私のおすすめのサザエのつぼ焼きのつくりかたは、「焼く→捨てる→振る→焼く」のざっくり4ステップ。

まず網の上で焼いていると、サザエから水分がぐつぐつと出てきます。この水はサザエの中に入っていた海水で、これは捨てちゃいます。
海水を捨ててから、今度はサザエを縦にしゃかしゃかと振る。こうすることで、できあがって食べるときに身を綺麗に剥がすことができるのです。

そして、また火にかけてサザエからぐつぐつと水分がでてきたら、それはサザエから出てきたおいしい旨みの部分!
振ったおかげでくりんと巻いた先っぽの部分の身も綺麗に出てくるので、それをぱくりと食べる。そして最後には貝殻にちょこっとだけ残っている旨みの汁を飲む。お酒と相性ばっちりなのでおすすめです。
サザエから海を感じながら、おうちでの時間をお楽しみいただけたらうれしいです。

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三浦尚子

漁師・ライター
神奈川県出身、岩手県在住。春が好き。ほっとする暖かさと、生き物が活発に芽吹いていく空気が心地よく感じます。趣味はカメラとおいしいごはんを食べること。夜明け頃の海が好きで、ときどき海の写真を撮っています。

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