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潮干狩りしおひがり

暦とならわし 2020.04.26

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こんにちは、こんばんは。
くりたまきです。

春は満潮と干潮の差が大きく、お昼ごろに潮が引くので、潮干狩りにぴったりのシーズンです。
では、どうして春は満潮と干潮の差が大きいのでしょうか。
それは大げさに聞こえるかもしれませんが、「宇宙の神秘」と言えます。

潮の満ち引きは「起潮力」によって起こります。この力は、ざっくり言うと月や太陽が及ぼす引力です。特に月は他の天体よりも地球に近く、影響力も大きくなります。

起潮力は、地球をラグビーボール形に変形するように作用しています。それによって海水が移動し、潮位の高いところと低いところができるのです。潮位が上がりきった状態が「満潮」、反対に下がりきった状態が「干潮」です。

天体の動きにより、満潮と干潮の差がとくに大きくなるタイミングが春と秋。

では秋も潮干狩りに適しているか、というと、ちょっと難しいかもしれません。必ず潮が引く時間帯が夜になってしまいます。


ちょっとあたたかい春の昼に、太陽の光をいっぱい浴びながら、潮が引いて静かに水が光る浅瀬に立つ。もう想像しただけで、気持ちがよさそうです。

現代でも多くの人が楽しみにしている潮干狩りは、古来から楽しまれていました。レジャーとして潮干狩りが人気になったのは江戸時代初期のころからだそうです。

江戸時代に刊行された、年間行事をまとめた『東都歳事記』(1838年刊)には潮干狩りのシーズンについて「汐干当月より四月に至る。其内三月三日を節(ほどよし)とす」と記されています。旧暦の3月3日は、現代の3月末〜4月ごろ。現代と同じ、春の穏やかな時期ですね。

この『東都歳事記』では芝浦、高輪、品川、佃島、深川州崎などの当時の潮干狩りの名所も紹介しています。とくに品川は景色もよく、海辺の宿場町として栄えていたため、行楽客も多く人気のスポットだったようです。

『江戸名所 品川沖汐干狩之図』(2代目歌川広重画)の錦絵には、当時の潮干狩りの様子が描かれています。男性も女性も、多くの人がかがんで足元を探す姿は、どこか愛嬌があります。着物をたすきがけした女性たちが手にするザルには、アサリなどの貝類でいっぱい。「たくさん獲れたわね」とでも話していそうな楽しげな表情は、時代を超えた人間らしさを感じさせてくれます。

宝探しのように遊びながらおいしいものを手に入れられるんですから、江戸時代の人たちが夢中になるのもわかります。

では実際に潮干狩りに行ったとき、広い砂浜でアサリを見つけるには、どうしたらよいのでしょう?

探し方のコツは、小さな穴を探すこと。アサリには2本の水管があり、それを砂の上に出して呼吸しています。なので、ポツンと穴が2つあるところを掘ってみてください。アサリは集団で生息しているので、ひとつ見つけたら、さらに深く掘ってみるといいかもしれません。

なんて、調べて書き連ねていますが……じつはわたし、潮干狩りをしたことがこれまでの人生でないのです。うっかりなわたしの記憶にないだけで、幼いころに体験しているかも? と念のため父にも電話して確認しました。やはり、ないとのこと。一度は体験してみたいものです。

食いしんぼうのわたしは、潮干狩りのことより獲れたアサリのことを考えてしまいます。酒蒸しにしてお酒と楽しみたいし、春キャベツと炒めても季節感がいっぱいでおいしいし、お味噌汁は鉄板。ああ、まさにアサリは海の宝石、潮干狩りは宝探しです。

宇宙の神秘に感謝! とよろこびながら、わたしは今年もアサリを楽しみたいと思います。

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栗田真希

ライター
横浜出身。現在は東京、丸ノ内線の終着駅である方南町でのほほんと暮らす。桜をはじめとした花々や山菜が芽吹く春が好き。カメラを持ってお出かけするのが趣味。OL、コピーライターを経て現在はおもにライターとして活動中。2015年準朝日広告賞受賞、フォトマスター検定準一級の資格を持つ。

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