こんにちは、こんばんは。
くりたまきです。
あれは2015年のことです。わたしにとってはじめての、大阪で過ごすゴールデンウィーク。思い出はひとつだけ。そう、しいたけ狩りです。
急に語り出してすみません、「きのこ狩り」のワードに反応して、つい。
今日はきのこ狩り、とりわけ、しいたけ狩りについてお話しようと思います。しいたけのこと、りょっと地味な脇役、って思ってませんか? わたしは思ってました。
とんでもない過ちでした。
時を戻します。鎌倉時代、日宋貿易において干ししいたけは輸出品でした。日本における曹洞宗の開祖・道元が若いころ宋に修行に行った際、遠路はるばる港の日本船に干し椎茸を買いに来た高僧がいた、と彼は『典座教訓』に記しています。
それほど日本産のしいたけは人気だったのです。当時、日本産の干ししいたけは高級食材の輸出品。日本の庶民の食卓に登場するようになったのは、江戸時代になってからです。
江戸時代にはしいたけの人工栽培が始まり、生産量がぐーんと増えました。それでもやっぱり、しいたけはごちそう。口にする機会はお盆やお正月、法事などハレの日くらいのものでした。
そんなしいたけを地味だなんて。かの豊臣秀吉も好んで食べていたという食材をわたしは軽んじていたのです。
2015年5月5日までは。
その日、わたしは会社の同期とふたりで、しいたけ狩りに行きました。なぜか。ほかの選択肢がなかったからです。
しいたけ狩りに行くと決めたのは、ゴールデンウィークの直前。
「くりちゃん、ゴールデンウィークどないする?」
「そやねえ、もうすぐだけど仕事にかまけて、どこも予約してないし…」
「テーマパークも混むやろし、京都もめっちゃ人多そうやんなあ」
「あ、いちご狩りとかは?」
「いいねえ!」
などと盛り上がりますが、探しても探してもいちご狩りは予約がいっぱい。ある農園で、いちご狩りとしいたけ狩りの両方をやっていて、しいたけ狩りだけ予約が空いていたのです。
「まあ、いっかあ。ほな、しいたけ狩り行こか」と、さほど期待せず行き先を決めて、5月5日を迎えました。
たどり着いた農園。その時点で、ちょっと「いいなあ」と思いました。まず、山の中という立地。マイナスイオンを浴びて癒されます。
受付を済ませると、さっそくしいたけ狩り。原木に生えているしいたけを狩って、かごに入れていくわたしたち。「こんな大きいのあったよ!」なんてはしゃぎながら、収穫します。
その次は、しいたけバーベキュー!
とれたてのしいたけと、お肉や野菜を自分たちで焼いて食べます。もう、お肉よりしいたけが主役。肉厚でジューシーなしいたけに、ほんのちょっとお醤油を垂らして焼くだけで、ごちそうです。口の中いっぱいに広がる、旨味と香りに「しいたけを侮っていた……!」と改心しました。一緒に出してくれた、しいたけの炊き込みごはんも、風味豊かでおいしかった。
しいたけ狩りをしているところは、バーベキューがセットのところも多いようです。果物狩りと比べて、しっかりごはんが楽しめるのも魅力のひとつ。
そんな思い出から、しいたけ狩り、かなりおすすめです。わたしはこの秋も狩りに行く予定です。秋の味覚を思いっきり味わいと思います。
栗田真希
ライター
横浜出身。現在は東京、丸ノ内線の終着駅である方南町でのほほんと暮らす。桜をはじめとした花々や山菜が芽吹く春が好き。カメラを持ってお出かけするのが趣味。OL、コピーライターを経て現在はおもにライターとして活動中。2015年準朝日広告賞受賞、フォトマスター検定準一級の資格を持つ。
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