少し肌寒く、冬の訪れを感じるようになる季節、丸いかたちのこのお菓子が恋しくなります。
私は"回転焼き(かいてんやき)"という名前で育ちましたが、いろんな呼び方があると知ったのは数年前。特に驚いたのは、北海道ではこのお菓子を「おやき」と呼ぶのだそう。おやきが長野の名物以外にも存在していたなんて!お店によって、地方によってさまざまな呼び方のある「今川焼」が今日の主役です。
一番初めに文献に登場しているのは「今川焼」の名前。江戸時代中期のことです。桶狭間合戦をもじり「今川焼」として発売し評判となったため、広がったとされています。その後、今川焼よりも形が大きく、縁起がいいからと生まれたのが大判焼、その型の銅板を回転させて焼いていたことから回転焼、と様々な名前が生まれたと言われています。(諸説あり)
今回、回転焼きのエピソードを考えていると、物心がついた頃、回転焼きを買いに行った時のことを思い出しました。4人家族の我が家。あんこの種類は黒あんと白あんの2種類というシンプルなお店で、それぞれ2個ずつ買ってきてね、と言われお店に行きました。
お店のおばちゃんに「2個ずつください!」と伝えると、にっこり笑って「ニコニコね☺︎」といいながら両手でピースサイン。焼きたての回転焼きを袋に詰めてくれたおばちゃんは「おつかい、偉いわね」とまたにっこり。本当は隣のお店のカスタードの回転焼きがよかったけれど、おつかいが褒められたのが嬉しくて、帰る頃にはそんなことはすっかり忘れていました。
しばらく通ったそのお店はその後無くなってしまいました。シンプルなあんこのおいしさとやさしい思い出を残してくれたあのお店が、私の回転焼きの原点。おばちゃん、元気にしてるかな…?
最近では今川焼が朝ドラに登場し、一躍ブームに。「おいしゅうなぁれ!」というあんこのおまじないはついつい一緒に唱えていました。母娘孫三世代、それぞれをつなぐ物語の鍵となったのがあんこでした。あんこを食べてホッとしたり懐かしくなったりするのはきっと、この物語のようにあんこのおいしさが代々受け継がれ、日本人のDNAに染み込んでいったんだろうな、なんて考えてしまいました。
丸い今川焼を食べながら、心も体もあたたかい気持ちでこれからやってくる冬を迎えられたらいいなと思います。
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