こんにちは。料理人の川口屋薫です。
今日のお話は、「春にんじん」です。
春にんじんの最盛期は3月から5月ですが、昔は春にんじんの栽培が行われていませんでした。冬の低温でトウが立ち、花を咲かせようとするのでにんじんの芯の部分が固くなってしまっていたからです。そのため、トウが立たない、食べる部分の根が成長できる品種が開発されるようになりました。
育て方は、10月から12月に種を蒔いて、畑をトンネルのようにビニールシートで覆い、直接冷気や雨水があたらないようにする。そうすることで、乾燥した状態と適温を保ち、やわらかくて甘い「春にんじん」が出来るそうです。
春にんじんの出荷量全国1位は徳島県です。
スーパーで徳島県産を見つけると「本格的に春が始まるよ!」と知らせてくれるような気がします。
もう少し先ですが、雪国で作られる「雪下にんじん」も春にしか味わえません。秋に出来たにんじんを、畑の中でそのままにして、積雪の下で越冬させて作ります。春の訪れを感じる頃に、除雪して手作業で収穫します。
この大変な労力を軽減するため、収穫したにんじんを貯蔵したコンテナごと天然の雪に埋める方法もあります。
気温は約0℃、湿度は約100%に保たれた雪の中で3ヶ月以上貯蔵しても鮮度は落ちません。さらに、旨み成分のアスパラギン酸や香り成分のカリオフィレンを豊富に含んでいるため、雑味や青臭さが抜けていくことにより、甘く香りをより感じることができます。
雪下にんじんは、寒い冬からの置き土産かもしれませんね。
春にんじんの味わいと一緒に効率よく栄養を摂るポイントは3つあります。
1つめは、生食の場合は酢やレモン汁など酸のものを加えることです。
にんじんには、アスコルビナーゼというビタミンCを破壊する酵素が含まれていますが、酢や柑橘などの「酸」と一緒に摂ることでビタミンCの破壊を予防することができるといわれています。
2つめは、皮つきのままか、うすく皮を剥いたものを調理することです。
外側の部分には、栄養素が高い β カロテンが多く含まれているため、できれば皮を残したまま食べることが身体にいいとされています。
βカロテンは免疫力を高めたり、抗酸化作用、細胞膜の保護、疲労やストレスの元となる活性酸素が招くがん、心臓病、老化の予防になったり、ビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康を維持する効果があるとされています。
3つめは、油と一緒に食べることです。
カロテンは油に溶ける性質があるので、油と一緒にたべることで体内への吸収力が上がるといわれてます。
今日のレシピは、爽やかなデザートです。よかったら作ってみてください!
春にんじんと柑橘のズッパドルチェ
材料(2人分)
A •柑橘の果肉 1個分 •グラニュー糖 大さじ2 •水 大さじ5 •春にんじん 1本 •レモンの絞り汁 大さじ1 •アイスクリーム お好みの量
作り方
①Aを小鍋に入れて弱火で5分煮て、火からおろして、冷まします。 ②にんじんをすりおろして、レモン汁を加えて軽く混ぜます。 ③①と②を混ぜ合わせたら完成です。 アイスクリームにたっぷりかけて召し上がってください。 ☆ポイント にんじんは皮つきのままでも薄く剥いてもどちらでも良いです。 今回は伊予柑を使いましたが、オレンジ、ネーブルなどの柑橘で作れます。 お好みで冷やしても良いです。 ※イタリア語のズッパはスープ、ドルチェはスイーツ、甘いという意味です。
川口屋薫
料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁
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