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骨董市こっとういち

旬のもの 2024.01.24

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年が変わり、最初の月が終わろうとしています。

相変わらず寒い日が続きますが、日がだんだんと長くなりました。ふきのとうも顔を出しはじめ、春の足音は確実に近づいていますね。

さて、新年には晴れやかな気持ちとともに「新しいもの」が欲しくなります。
年末に買った財布や洋服、靴をおろしてみたくなったり、新年のセールで買ったあれこれを使ってみたり。しかし、歳を重ねるごとに逆に「古いもの」にも興味が出てきます。
使い倒された家具や小物。一見、ゴミと間違えるほどのものにも、なぜだかキラリと価値を感じるときがあります。

そんな「古いもの」たちをあえて、宝探しのように見つけにいくイベントがあります。
今日のテーマ、「骨董市(こっとういち)」です。

骨董市とは、色んな出店者がひとつの場所に集い、古い美術品や陶磁器、漆器、ガラス製品などを販売するイベント。神社仏閣の縁日やお祭りに合わせて開催されることが多く、近年では、「蚤の市」「アンティーク市」など町の広場などでも開かれるようになりました。

ただ、骨董、骨董というけれど...
そもそも「骨董品」とはなんなのでしょうか。

広辞苑で調べてみると、こんなことが書かれていました。

①種々雑多な古道具。また、希少価値或いは美術的価値のある古道具・古美術品。
②古いばかりで役に立たないもの。

なるほど、幅広い。
「役に立たないもの」とまでいわれているのが、なんだかおもしろくて愛着が湧いてしまいますね。

ちなみに、1934年に制定されたアメリカの通商関税法では、骨董品(アンティーク)について「製造された時点から100年を経過した手工芸品・工芸品・美術品」と定義しています。日本が加盟するWTO(世界貿易機関)でもこの基準を採用していて、100年以上前に製造されたことが明らかなものについては、WTO加盟国間では関税はかからないとされているのだそうです。

とはいえ骨董品は、日本では明確な定義がないのが現状。
そのため解釈が広がり、人々に定着していったともいえるかもしれないですね。

私は以前、京都の東寺で毎月21日に開催されている「東寺弘法市」へいったことがあります。弘法大師の命日に、毎月境内で行われるイベントでその日は1,000店以上ものお店が並んでいました。

当日は気合いを入れて早起きして朝一番に行ったのですが、もうとにかく活気がすごかった。色んなお店から店主やお客さんの会話が聞こえてきて、みなさん目を輝かせながら買い物をたのしんでいて。その場にいるだけで心が沸き立ちました。

私もどれにしようかと目移りしながら、何周もぐるぐる回って、とうとう「決めた!」と思い手に取ったのが、漆の入れ物でした。
だいぶ古いもので、ひびも入っていました。
なにに使うか思いつかなかったけれど、しかし欲しいなぁと眺めていたら店主と目が合いこんな声をかけられました。

写真提供:高根恭子

「それね、1,500円なんだけど...ええい!800円にまけておく!」

えっ、私「まけてください」なんて一言もいっていないのに。
すごくすごく驚いて、そのあとにおかしさが込み上げてきて即800円で購入。
ものに似つかわしくない大きなビニール袋に入れてくれて、不恰好な感じで持ち帰りました。

いまはこの入れ物にお香を入れているのですが、使うたびに骨董市でのやり取りを思い出してほっこりしています。偽物なのか、本物なのか、価値があるものなのかどうかはわからないけれど、あの体験自体が丸ごと思い出としてこの品には含まれているから、私にとっては大切なものなのです。

骨董市、きっとみなさんの家の近くでもやっていると思いますので、ぜひ行ってみてくださいね。あなただけの宝ものが、きっと見つかるはずですから。

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高根恭子

うつわ屋 店主・ライター
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。

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