こんにちは。気象予報士の今井明子です。
年々早まる桜の開花。多くの地域で、もはや桜は入学式ではなく、卒業式のシンボルになりつつありますね。まだ3月ですが、そろそろ花見の計画を練っている人も多いのではないでしょうか。
さて、花見を計画するときに、気になるのが天気です。
桜が見ごろを迎えた短い期間に、必ず! そう、必ずといっていいほど嫌がらせのような雨が降り、私たちをやきもきさせるものです。この雨がまた寒い! ポカポカ陽気でウキウキしていたところに文字通り水を差すような存在です。油断して薄着で出かけると体の芯まで凍えて大後悔します。
このような立春を過ぎたあとに冬のような寒さが戻ってくることを「寒の戻り」といいます。また、花見の季節の寒の戻りは「花冷え」という言葉が使われることもあります。
なぜ、寒の戻りがあるのでしょうか。それは、春が少しずつ暖かくなっていくものではないからです。春になると、大陸から偏西風に乗って移動性高気圧と温帯低気圧が日本列島にやってきます。移動性高気圧はポカポカと暖かい空気でできた高気圧です。そして温帯低気圧は、暖かい空気と冷たい空気が出合ったときにできるものです。この温帯低気圧は、温暖前線と寒冷前線を伴っていることがあります。
温暖前線が通過したあとは、春一番に代表されるような暖かい南寄りの風が吹いて気温が上がります。しかしそのあとには寒冷前線が通過します。すると、今度は冷たい北寄りの風が吹いて気温が下がるのです。寒の戻りというのは、この寒冷前線が通過した後の状態ということです。
春から夏にかけては、温帯低気圧が何度も通過し、暖かくなったり寒くなったりを繰り返しながら気温が上がっていきます。3月、4月はまさにそんな時期なのです。
春になるとクリーニング店でコートのクリーニングが安くなるので、それに合わせてすべてのコートをクリーニングに出してしまいたくなるのですが、寒の戻りを忘れてはいけません。特に4月23日と24日は寒の戻りの特異日ともいわれていて、なぜかはわかりませんが、寒の戻りになりやすい傾向にある日です。
ですから、関東在住の私は念のため、4月が終わるくらいまでは1着はコートを手元に残しておきます。でないと、せっかくクリーニングを終えたコートを引っ張り出すか、薄着で震えるかのどちらかになってしまうからです。この時期は週間天気予報を注意深くチェックしながら、どこまで厚着が必要かを判断し、賢く乗り切ってほしいと思います。
今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
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