こんにちは。気象予報士の今井明子です。
新緑の美しい季節です。この時期になると、地域によっては半袖で過ごせてしまいそうな夏日になる日もあり、初夏だなあ…と思わせます。
しかし、まだまだ油断は大敵。急に肌寒い日が来ることもあるからです。
このような、若葉の茂る季節に訪れる寒の戻りを「若葉寒(わかばさむ)」といいます。
これまで、春の寒の戻りは「花曇り」「花冷え」などの言葉が使われてきましたが、桜の季節を過ぎてもまだ寒くなることがあるんですね。
このあとも、北海道では5月下旬から6月前半にかけては「リラ冷え」と呼ばれる寒の戻りがありますし、本州以南も「梅雨寒(つゆざむ)」という言葉があります。
要するに、冬から夏にかけては、気温は上がる一方なのではなくて、行きつ戻りつしながら次第に暑くなっていくのだということが、これらの言葉からもうかがえます。
さて、若葉寒の正体は、大きく2つあります。
ひとつは、移動性高気圧とともにやってくる低気圧が通過した後に訪れる寒さです。低気圧が通過すると、北寄りの冷たい風が吹いて気温が下がるので、寒の戻りとなります。花冷えなど桜が咲くような季節の寒の戻りはこのタイプであることが多いです。ただ、季節が進んでいくにつれて、こちらのタイプの寒の戻りは次第になくなっていきます。
もうひとつの寒の戻りの原因は、停滞前線によるものです。
早くも、この季節は沖縄などの南のほうから梅雨の便りが聞こえてきます。梅雨をもたらす停滞前線は、時折北上して、本州付近にも長雨をもたらします。これがしばらく続きそうなら「梅雨入り」となりますが、1週間ほどで終わってしまうようであれば「走り梅雨」と呼ばれます。
このとき停滞前線を挟んで北のほうには湿った冷たい空気が、南のほうには高温多湿な空気がありますが、北のほうの涼しい空気に覆われているとき、そして前線由来のしとしととした雨が降っているときにひんやりと肌寒くなります。これが梅雨入り後なら「梅雨寒」ですが、梅雨入り前なら「若葉寒」と呼ばれることでしょう。
薄着で少し汗ばむ陽気になると、「このまま夏になっていくのかなあ…」と思うものですが、そうは問屋が卸さない。若葉寒はそんな存在なのです。
今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
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